まるで進歩がない

 この本を読んでいたら、そんな感想を思い浮かべました。

ドイツ軍部の政治史 1914~1933

ドイツ軍部の政治史 1914~1933

 自分が読んだのは増補版の2007年発行版です。本自体は1989年に出版されています。
 ドイツ軍部の政治史・・・と言っても1914〜33年という第一次大戦からナチス政権に軍部が従属するまでですが、読んでいると、ん、かつて〇本という国が同じような状況ではなかったかな?なるほどかの国の失敗の本質を何も学んでいなかったのね・・・まぁ学んでいたら第二次大戦であんな無様な無条件降伏にはならなかったかも知れませんが。
 とは言え、彼らの論理は『武力がなければ国家は存在しない』という現代の常識からすると真逆の発想であり、戦争自体も目の前の戦いに勝利すること以外の戦略(戦略?)しか考えられなくなり、戦争する事だけが目的になるという不毛な組織になり果てるのですが。
 それで文民統制、議会制民主主義の制度であるワイマール共和国ができるのですが、制度はできても運営する人々にその意識が浸透している訳ではなく、君主にのみ服従すれば(言い換えれば君主の判子さえ握っていれば)独裁可能な組織が、物事の決定に何事にも時間がかかり、更に戦争への『嫌悪』から非論理的なまでの拒絶反応を軍部に対して示す議会に服従する筈もなく、そのせめぎ合いをしている時代と言えるでしょう。
 なんぢゃこりゃ、と思ったのは、政治家たちの反応でして、反対ばかりして建設的な事を何もできない人が多すぎる(皆無ではない。したたかな政治家は少数でも存在する)。彼らは嫌悪するあまり『敵』である軍部に対してあまりに無知であり、軍事に対しても非論理的な反感、反発しかできないので、主導権を握るチャンスを得ても生かしきれずに終わるのです。
 これってさー、今の日本の野党にも言える事ぢゃないかしら?不見識なのか、無目的にしか見えない、反対の為の反対を繰り返して、だからといって代替はなく政敵のスキャンダルを追及するばかりで時間を空費している。そんな印象しかありません。そんな彼らの態度が、右翼の突出、ひいてはナチスの躍進を産み、『怪物』ナチス・ドイツを産み出したのだと思うと・・・野党はね、口先ばかりの二大政党制ではなく、シンクタンクとか設立して政策研究をして与党に対抗するようにしなければ、あかんと思うのですよね。個人的な学習力に頼るかぎり、たぶん同じことの繰り返しですよ、野党。