読み終えたー

 もともと大学生、大学院生向けの教科書として書かれたものらしいです。

第一次世界大戦への道:破局は避けられなかったのか

第一次世界大戦への道:破局は避けられなかったのか

 網羅的であり、原著は2010年に発刊されたそうで、まぁ第一次大戦に至る歴史書としては最新研究をまとめたもの、なのでしょうね。
 ただ訳文なので読みにくい・・・理解したかどうなのか、ちょっと不明です。
 理解したのは、大戦は必然ではなく、不幸な偶然、行き違いの末であり、どこの国も大国間戦争を企図していなかったという事です。
 とりあげられているのが普仏戦争後の1871年からで、当時から今後の戦争は全面戦争の様相になると理解されていたようです。普仏戦争第二帝政のフランスとドイツ統一を目論むプロイセンとの戦争ですが、フランスの総大将とも言えるナポレオン三世セダンの戦いで捕らえられても、フランス各地ではゲリラ的な抵抗があり、つまり、『玉』を抑えても戦争が終わらない時代に突入した、という事です。
 その為もあってか、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリア=ハンガリー、ロシアといったヨーロッパ列強は彼ら同士で正面衝突が起こらないように外交折衝を重要視していきます。また産業、金融面も『グローバル化』が進み、一国主義は影を潜め、必然的に経済人は平和を望みます。戦争が発生すると利権を回収できない危険が発生しますから。
 ただ軍事力の強化をすわなち他国への抑止力として考えている為(つーか、今もスタンダートな考え方)、強気に出る事で外交を有利にさせるという手法が横行。オーストリア=ハンガリーは小国セルビアに対して、自国の皇太子がセルビア人青年が同国の民族主義過激派に使嗾されて暗殺された事を受けて国の『威信』をかけて、強圧的な、というよりセルビア占領までやろうとします。小なりとは言え国としての対等な立場を要求するセルビアは拒否。セルビアに独立保障をかけていたロシアは、部分動員で、つまり威嚇する事でオーストリア=ハンガリーの矛を収めさせようとするのですが、部分動員なんて想定されておらず(オイ)、結果的に総動員となります。これを見たドイツはロシア・フランス同盟に挟まれた国勢から、そしてオーストリア=ハンガリーを支持する立場から動員、それもロシア、フランスの二正面作戦を企図します。ロシア経済と深いつながりを持ち、政治的にも同盟国であるフランスはこれに対抗。残るはイギリスですが、初期には中立的な仲裁役を担い、勢力均衡を図っていましたが、ドイツの経済面、海軍力面での追い上げと利害対決から、中立国ベルギーが侵攻されたら参戦、と決意。
 そんな感じの芋づる方式で、ずるずると世界大戦は開始されました。何でしょうね。今ほど情報のやりとりがダイレントでなくても、連絡の取りあい、話し合い、報連相はできたでしょうに、期待と思い込みによって負の連鎖が起きていくという・・・どっかで聞いたような展開ですね。ほんと、コミュニケートって大切ですよ、はい。