むりむり読了

 あ、はい。これを、です。

高杉晋作―動けば雷電のごとく (ミネルヴァ日本評伝選)

高杉晋作―動けば雷電のごとく (ミネルヴァ日本評伝選)

 『高杉晋作』で検索すると、めっちゃ出てくるんですなー・・・一昨日からポロポロ書いていますけど、彼が何故人気があるのかというと、まず破天荒であること。それなりに有能であること。そして夭折したこと。ですかねー。
 ボンボン育ちですが、生真面目な祖父、父に従いながらも承服せず、親の手を焼きながら我儘に育ったという印象です。それなりに有能なのですが、何かね、『井の中の蛙』的な側面もあり、それをへし折られて色々目覚めるところは可愛げがあります。尊王攘夷ですが兎に角、外国を排斥すればではなく、自国を守る為に進んだ技術は学ばなければならないと、数度留学を試みますが、様々な理由でだいたい失敗しています。上海租借地でヨーロッパ諸国の支配の一端を垣間見たぐらいかな?それでも衝撃を受けているから、よほどですね。
 二十七歳で亡くなっているので具体的な事績は、奇兵隊設立者であること(数か月で罷免されている)、『正義派』クーデターの火付け役、長州防衛戦の部隊長で小倉口で勝利する・・・ぐらい?あとはあまり丈夫な方ではなかったのに、暴飲を繰り返して肺病を患い、戦地であっけなく死亡したこと、かな?
 率直に言うと自分の好みではないし、良くいる当時の自我の強い『サムライ』どもの一人であるし、その才能も部隊長としては優秀ですが、戦略家としての力量は未知数、ってとこですか。彼が技量を示したのは有能な指揮官である事で、『軍事的天才』という程でもないです。日本人はやたらと『名将』とか『軍事的天才』という形容詞をつけたがるけれども、世界史レベルでそういう能力を持つ人は、あんまりいませんよ?
彼の人気は『有能』とか『偉人』とかではなく、とかく日常を縛られる十代の若者からすると、高杉晋作の破天荒ぶりに対する憧れ、なんぢゃないかと思うのです。それも、しっかりした家庭、評価してくれる藩のバックアップがある、たぶんに『甘えた』環境だと思えますが、それも彼の才能と言えばそうですけどね。あと、死んだ人間は常に有能という、維新政府のノスタルジィのせい。
 自分が『明治維新』というものをあまり評価していないせいか(徳川幕府主導の開国と、結局何が違うのか?って、主体が交代しただけであり、根本的な問題を解決しているように見えないのです)、とかく辛くみてしまいますが、なんかね、幕末維新に活躍した人を持ち上げたい、って人って、とかく感情的に評価している人が多くてね。『好きだから好き!!この人エライ』って言われても納得できないし、彼らの成功が第二次大戦の敗北の淵源になったかもしれないと思うと、高く評価できないのです・・・はい。
 ま、高杉晋作がキ印ではないという事が解ったので、それが収穫です。