読了編

 時間があれば今日図書館に本を返却したいです。なので読み終えた本の事など。

SOSの猿

SOSの猿

 漫画家の五十嵐大介さんと共同で世界、舞台設定をつくり、それを下にそれぞれが作品を書いたというコラボレイト小説?なのかな。
 五十嵐さんの『SARU』の方を先に読み終えていまして、こちらはだいたい舞台が日本から見ると地球の西半分、大西洋からヨーロッパ、エチオピアアフガニスタンというグローバルな話なんですが、こちらは日本国内の、どうみても首都圏、もっと言えば都内っぽいミニマムな話。
 こういう対比は企画段階からあったのかも知れません。五十嵐さんの方はダイナミックなお話で、伊坂さんの方はご近所のお話で、でも時間軸がずれてて・・・なんか読後、ほんわかしました。
 なんででしょうね?伊坂さんの作品は、読んだものが限られているのですが、なんか読後、ほんわかするのですよ。何故ですかね?
本能寺の変 史実の再検証

本能寺の変 史実の再検証

 あ、二年前の本だった。まぁ本能寺の変の原因を語るなんちゃら説ではなく、一次資料と二次資料から通説とは異なる部分を紹介している本です。
 信長は常時少人数で、つまり機動力に富む行動をしていて、『本能寺の変』当時も油断とかではなく常態であったこと。
 秀吉の『中国大返し』は脅威でも何でもなく、常識的な速度であり、プロパガンダの印象に研究者も先入観を抱いてしまっていること。
 秀吉は『変』以前より毛利氏と和睦交渉を行っており、交渉妥結前後に『変』の情報に接したらしいこと。
 山崎の戦いは摂津にいた四国攻撃軍の総帥織田信孝が総大将であり、秀吉は副将格であったこと。先手は当時の慣習から国境の城主であった高山右近が受け持ったということ。
 長宗我部氏と織田信長の齟齬は、どうも三好康長による讒言によるもので、それに付随し、瀬戸内海の制海権を握る人脈を持つ三好氏との関係を信長が重視する方向に転換した事もあり、長宗我部側が不信感を持ち始めたらしいこと。
 ただこの長宗我部氏との関係の深さが明智光秀に『変』を踏み切らせたか、かというと、なーんか違う気もするのですよね。やはり状況(畿内中心部の軍事力不在)と家臣からのつきあげ(幕臣出身の彼には京都利権を失った旧幕臣が多く仕えている)が原因ではないかと思うのですがね。
 当時の状況を考察する本として面白かったです。
 でも『中国大返し』を否定する小説やドラマは出てこないだろうなぁ、たぶん。