第一次世界大戦

 割と包括的なものを読んだこと、なかった気がしたので入門的なものを読んでみました。

第一次世界大戦 (ちくま新書)

第一次世界大戦 (ちくま新書)

 密林の商品を見ると、近年第一次世界大戦の本が結構出ているのですね。心強い。
 まず言われるのが、どのヨーロッパ列強も長期戦を望んでいた訳ではないということ。それどころか、サラエボの一発で始まる戦争はオーストリアハンガリーセルビアの第三次バルカン戦争であると、認識していたようです。それが、スラブ人の盟主、保護者としてのロシアが、オーストリアを支援しているドイツの参戦を防ぐために動員をかけ、それを見てドイツも牽制する為に動員をかけ、連動してロシアと攻守同盟を結んでいたフランスが動員をかけ、それを見て両面作戦の場合、展開が早いフランスに対して攻撃を仕掛けるのですが、中立宣言しているベルギーを『道路』扱いする作戦であった為、フランスと戦うために、ベルギーに宣戦・・・そしてベルギーを守る為にイギリスが参戦するという・・・端から見ていると、「なにやっているの?」という展開ですね。
 当時は帝国主義まっさかりで、ヨーロッパ以外では利権確保で共同歩調を取るけれども、ヨーロッパでは違うよ?そして軍事力をちらつかせたら殴るべき、という戦争ばんぢゃいな雰囲気があったようです。一世代前は戦争を防ぐ風潮が支配的でした。イギリスは勢力均衡を維持する為に、ドイツは普仏戦争の戦果を維持する為に、まぁ植民地の権益を拡張する為にはヨーロッパで戦争している場合ぢゃないって事だったらしいですね。一世代戦争から遠ざかると、なんか戦争が英雄物語に見えてきて、自分もやつてみてー!!ってなるんでしょうね。現代日本でも『平和だっさ』とか言う人は時々現れます。そういう人は紛争地域に行って銃火に晒されて、格好良さを味わえばいいと思います。
 なりゆきで始まりました戦争。どこの国も戦争計画がある訳ではない。短期決戦だと思い込んでいる。泥縄作戦で戦局はたちまち膠着状態。唯一ドイツには無茶な両面作戦プランがありましたが、快進撃し過ぎて補給が続かなくなり断念しています。
 膠着した戦線を打破する為に様々な兵器が登場しますが、毒ガスってそもそも塹壕から兵士を追い出すもので、殺傷するものではなかったんですねぇ。あと大砲による死傷者が七割というのも初めて知りました。大砲は戦場の女神だ・・・
 勝敗を分けたのはやはり生産力、資本力でありドイツ最後のあだ花である攻勢の戦果は、連合側の物資を略奪したいが為、とも言われています。
 あとね、ドイツは途中から軍部が皇帝すらさしおいて独裁する癖に、負けが見えてくると政府に責任を押し付けたり、戦犯として裁かれるのを免れようとするんだよね・・・だっさ・・・
 まぁいろいろ解って面白かったです。