怠惰な週末

 金曜日の町内会の飲み会・・・16000円のおふらんす料理でございましたが、ここでスパークリングワイン、白、赤葡萄酒、麦酒と四種類出ましてね。その後、ウィスキーをストレートでいただいたら、まぁ、久しぶりのちゃんぽんですよ。やっちゃいましたね。
 翌日土曜日は、マジで眠たかったです。起床が十一時近かったのは久しぶりだ。
 この一事に象徴されるように、よせばいいのに土曜日の夜も赤葡萄酒一本空けましてね、四時間こえの落語音声にドラマ画像を合わせる様式のものを見ていました。十時に見始めたから二時ぐらいに終わるという心づもりだったのですが、え?三時近いよ・・・最後の二話分は寝落ちしていましたし。
 翌日も十一時近くに起きまして・・・まぁ、ほんと、怠惰な週末でしたよ。それでも読み終えた本はあるものです。

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)

 統括的なヒトラーとナチ・ドイツについての本を読んだ事がなかったので、借りて見ました。
 ヒトラーは思ったよりも怠惰で現代でいうところのニート、引きこもり気味の性格だったようです。オーストリアハンガリーの官吏であった父親への反感とドイツ人が一級市民であるにも関わらず、当時のオーストリアハンガリー人が割と主導権を握っていた印象がありますので、その現状への反感からドイツに移民。第一次大戦が始まるとドイツ軍の従軍します。しかし前線勤務ではなく本部付きの伝令。勇敢であったという話は、ナチ・ドイツが政権を取った後ではそれ以外言えない、という雰囲気だったから(違う事を言うとナチスから暴力制裁がぶっ飛んでくる
 戦後も軍にいたのは除隊したところで就職のアテがなかったからです。どちらかというと受動的で怠惰な青年であったヒトラーに転機が訪れたのは、戦後の軍で、彼の弁舌の才能を見出した諜報関係の将校との出会い。どうも彼の中の才能や不満に形や方向性を与え、極右翼の政治活動化に仕立て上げたのは『軍』であったとしか思えないのです。組織的な軍ではなく解体と価値観の崩壊に晒された軍人たちというべきでしょうか。
 同時のヴァイマル共和政社会主義的な民主主義を標榜していましたが、軍人たちは戦場ではなく反戦革命によって負けたと感じており、その原動力はユダヤ人であったと思い込んでいました。ヴァイマル共和政政府は戦争責任を全てドイツに負わせるような条約に署名しドイツは天文学的な賠償金や領土削減にあえいでいましたから、左巻きユダヤ人に対する反感が高まっていました。それに便乗する形で勢力を伸ばしますが、政権獲得はナチ党が退潮期に起こりました。保守派が、これならコントロールできると思い取り込みをはかったのですね。しかしこの時はヒトラーが上手で保守派が骨抜きにされ、結局ナチスが政権を取りました。
 第二次大戦は端で見ていると非合理な展開なのですけれども、ユダヤ人との戦争というヒトラーの主張からすると、一応の整合性はあるらしいです。ただし妄想前提の整合性ですが。
 改めてナチ・ドイツを概観すると国家理性を欠いた暴力装置が己の思うままに威力を発揮した挙句、妄想に囚われたままいたるところで戦争をふっかけ破滅に至ったという感じ。そもそも暴力を抑止する意思に乏しいので、反対派、敵対者を問答無用でぶち殺しまくっている。特にポーランドではユダヤ人、ポーランド人政治家、インテリ、れソ連兵捕虜、性的少数派、少数民族などがまとめて総計何百万人も殺されています。
 それでもヒトラーは悪く事をしたとは微塵も思っていない。ドイツ、そしてヨーロッパの為に彼らを殺したのだと。イカレポンチの暴走とは、恐ろしいものです。そしてそれを見て見ぬふりをし、同調した人々がいたからこそ、彼が、彼らが一国の主導者となった事実を忘れてはならないと思います。