一応読みおえ

 駆け足で読みました。

神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)

神曲 地獄篇 (講談社学術文庫)

 ダンテの原文が読めないと、やはりこの詩の本当の価値というのは解らないのでしょうけれども(そしてトスカーナ方言のイタリア語が現代イタリア語の祖と言われていても・・・)、だいたい言わんとしている事は理解しました。解説で(オイ
 率直に言うとフィレンツェの政争に負けて自分は愚か家族にも『死刑』を宣告されてしまったダンテ。党派に属しながらも平和を希求して、それを否定されてしまったのですが、この時、彼を追いやったのはフィレンツェの政争に介入した教皇庁。それも貪欲で尊大なこと有名な(そしてフランス王に憤死させられた)ボニファティウス八世。
 もともと教皇派であったダンテですが政治亡命を余儀なくされ、そしてフィレンツェに帰還できなくなった頃から、『神のものは神に、皇帝のものは皇帝に』というキリスト教の原点に立ち返り、世俗権力の拡張を望む教皇庁こそが全欧の混乱の下であると弾劾しているのですよ。
 まぁね、自分のキリスト教(というか唯一神教)嫌いは、この中世ヨーロッパで教皇庁がやらかした数々の事が一因だったりしましてね。特にダンテよりも一世代上のフリードリヒ二世(世界の驚異)が好きなものですから、彼に対抗していくうちに異端審問とかね、ねちっこく彼の遺児を滅ぼした挙句に、結局庇護者を失ってローマからおん出されたり、権威失墜したりね、そういうエピソードを知っていると、やれやれ、って感じになるのですよ。
 でも唯一神教が好きじゃないのは、他者への非寛容性だったりするので、他者に寛容な唯一神教は別に好きでも嫌いでもないです(しかし他者を認める唯一神なんて、存在するのか?)
 まぁそんな感じの地獄編でしたが、次の煉獄編は、借りれれば読みます。はい。