アラモな本
図書館の新しく入荷したコーナーで見つけたので、手に取り読んでみました。
米墨戦争前夜のアラモ砦事件とテキサス分離独立――アメリカ膨張主義の序幕とメキシコ (世界歴史叢書)
- 作者: 牛島万
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2017/07/31
- メディア: 単行本
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もともとテキサス、フロリダってスペインの植民地でして、テキサス以西はメキシコの領土として独立、フロリダはアメリカが買得しています。んでメキシコ側からすると、まだ鉱物資源も発見されていないし、砂漠の向こうだから開発するのもなぁ、という土地だったのですが、東部アメリカ人からすると農地開発する価値がある。
んでメキシコ政府の許可を得てアメリカ人が農地開発し始め、成功し始めるとアメリカ人がどんどん増え、そうなると、ちょうどメキシコ政府が中央集権化をして国家体質を強化しようとしていた折、分離独立、あわよくばアメリカ併合を考え始めます。
まぁだいたいこういう『辺境』に流れ込んでくるのは本国で失敗して一旗揚げる最後のチャンスみたいな喰い詰め者が多く、映画とかに描かれる『自由』『平等』『独立』を唱っている訳ではない。そもそもアメリカの『自由』って白人の自由って意味だったからなぁ、ん十年前までは。南北戦争すら白人資本家の利害が対立して奴隷よりも低賃金労働者として非白人を扱いたいという要求から行われた訳で、非白人、特に黒人の社会的待遇が劇的に良くなった訳ではないし、『アラモ』の物語も白人強い、白人正しいっていう意識が流れています。
実際、そんな訳ではなく、結果的に虐殺に至ったメキシコ側は再三降伏を促し、しかし正規戦ではなく反政府の犯罪者としてアラモ砦やテキサス側を扱っており、補給の関係から武装者は全滅させる方針になったようです。最終的にテキサス側が勝利したのも多分に『運』によるところが大きかったみたいですが。
今はアメリカ建国の伝説の一つとして観光地化していますよー、というのがだいたいの内容。
まぁそうだよねー。