昨夜は読書に専念

 ちょうどコレが読み終るタイミングになったので。

 この物語は二十一世紀最後の歳にかけて行われた地球・月連合の主軸である航空宇宙軍と、その経済的な軛から脱しようした小惑星系、木星系、土星系国家の外惑星連合軍が戦った第一次外惑星動乱が主軸になっているのですが、三巻に収録されているのは大勢が決した後の、つまり戦後の混乱、不条理、異常な兵器開発にまつわる切ない話です。
 特に、戦争捕虜の『脳』やシャチの『脳』を利用した無人戦闘艦の開発、運営にまつわる話は、やるせない物語ばかりです。組織や腐敗した上層部の都合で切り捨てられていく人々、モノとなってしまったものたち・・・地球上ならば逃亡しても生き残る望みはなきにしもあらずです。空気と水と、食べ物が確保できるなら。
 ところが宇宙となるとそうはいかない。そもそも人の力をもってしなければ、食べ物はおろか、空気も水も手に入らない。それどころか『脳』だけになり生体計算機になってしまった人やシャチは、何をどうしても研究材料にしかならず、自由を取り戻す事はできない。彼らが手を取り合って逃亡するならまだしも、ヒトとシャチの間には、シャチにとってヒトに対する不信があるかぎり(不条理に兵器にさせられたのは一緒でも、やはりヒトという種族に対する不信があるのと、ケースバイケースにできるヒトでは判断が異なる)、認識の一致をみる事はなく、互いに『殺し合い』、そして外宇宙で朽ちていく・・・
 たぶん二十代に読んでいたら、重すぎてアレでしたでしょうが、加齢した事によって受け入れられるようになりました。ミサイルやビームがない・・・軌道計算と爆雷の散布による戦闘が熱く感じるなんて、ああ、まぁマニアックな・・・第四巻も楽しみでありますよ。