後味は悪い

 けど味わい深い・・・かな?そんな映画でした。

マーシュランド [DVD]

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 スペインの映画で、どうもフランコファシスト政権から民主化された直後の時代を取り扱っているようです。1980年だって冒頭で出ていたから。
 首都から左遷されてきた二人の刑事が十代姉妹の失踪事件に関わるところから始まります。何だろう、この陰鬱な空気は。ってな雰囲気が全編を覆っています。正しい事をしても通らない。因習が優先される。そんな感じ。十代の子たちは皆、街を出る事を望んでいる。ここではないどこかなら、どこでも構わない。そんな感じ。
 どうやらそこを突かれて犯罪に巻き込まれたらしく、そして姉妹の無残な死体が湿地帯から発見された・・・
 八十年代って当時の雰囲気からすると、結構明るい時代に見えました。日本も円高不景気とその反動のバブルに彩られ、『経済大国』に名実ともになったという印象でした。スペインも第二次大戦から続いたファシスト政権が倒れて、逼塞感から解放された時代だと思っていましたが、それは都市部だけの事なのかも知れません。
 昔から変わらない逼塞感が湿地帯の街を覆っています。ストライキが活発になり、労働者の権利が声高に叫ばれ、それが解決した頃、事件も犯人の死亡によって幕引きになります。子供が生まれる主人公は家族が待つマドリードに栄転できる事になりますが、しかし・・・彼の脳裏には疑惑が残っている・・・みたいな感じ、で終わります。
 なんか疑いだしたらキリがないのですが、その余韻を味わう映画なのだなぁ、と思いました。
 ヨーロッパの映画は単純じゃなくて、ゆっくり味わうのがいいですねー。