ねじ巻いて読んだ
はい、これです。長かった・・・
- 作者: オーランドーファイジズ,染谷徹
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2015/02/27
- メディア: 単行本
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では残りのイギリス、ロシアについてですが、両国とも戦前の自信とは裏腹に、軍隊の脆弱性、特に貴族司令部の無能さが露呈した戦争でした。装備、工業力、産業すべてが戦争に関わる事を実証した戦争であり、イギリスは中流階級が主導権を握り、より合理的な組織へ変貌するきっかけになった戦争となりました。それまで『英雄』は馬上の指揮官のみであったのが一般兵士こそが『英雄』であるという考え方に変わった戦争でもあります。
ロシアについては軽蔑対象であった農奴出身の兵士たちの勇気が称えられ、つまり人間としての再評価、そして皇帝の寵臣でしかない高級軍人の無能さが露呈した戦争になりました。そして自国の産業構造が列強に遅れていること、イギリスに「騙された」という怨念。それが次の半世紀を彩るユーラシア大陸を南北にとりあう「グレートゲーム」のきっかけにもなったのでした。
クリミア半島では戦争後、先住タタール人たちが民族浄化にあい、ロシア人をはじめとする東欧諸国の民族が移住、現在に至ります。戦争でのもっとも激しい争奪戦かおこったセヴァストポリは、ロシア人にとって祖国防衛のシンボル、愛国的な聖地となりました。
だからクリミア半島がウクライナからロシアに帰属しようとしたのかぁ。セヴァストポリはロシアでなければならないのね。なるほどねー。