ボブ・ディランがノーベル賞

 昨日webのニュースで見て、少しびっくりしました。小説家とか詩人でない人が、ノーベル文学賞をとったのは初めての事のようです。
 しかし考えてみれば現代で、詩人が詩集を出すよりも音楽アーティストの書いた歌詞の方が流布している訳で(必ずしも誌の内容を吟味して聞いている訳ではないけれど)、その意味では百年前の詩人と同じような影響力があると思うのですよ。その頃の詩の楽しみ方は、暗唱したり音読したりして素人発表会みたいなところでも楽しんだりしていたそうですから。
 もちろん現代の詩人の方々も機会があれば音楽に歌詞を提供するのでしょうけれども。
 しかしこの先例ができたという事は重要な事で、文学的に人を感動させる事ができるならば、作家、詩人、音楽家、その職業を問わないって事ですよね。粋ですよねぇ。
 さて、読み終えたもの。

クリミア戦争(上)

クリミア戦争(上)

 ようやく上巻を読み終えました。クリミア戦争がプレ世界大戦であったこと。ロシアにとってこれはイスラム教徒に対するギリシャ正教=ロシア正教徒の十字軍であったこと。それを口実に地中海への出口を得て、ギリシャを中心にキリスト教帝国再建をもくろんでいたこと。
 しかしヨーロッパの勢力均衡、英国の地中海覇権への挑戦である為、列強の反発を買い、またオスマン・トルコも自国だけでは勝てないので西欧列強のジャーナリズムに訴えて(デモを組織する金まで出している)加勢を促していたこと。そしてナポレオン戦争時代の武器、組織しかない英国やロシアよりも、アルジェリア戦争で鍛えられたフランス軍がより近代的な軍隊となっていたこと。
 そんな感じかな。そして専制君主のニコライ一世は、個人的な友好関係がそのまま国同士の友好関係になると誤解し、英国世論を軽視していたこと。その為、英国が敵として参戦することを想定していなかったらしいです。またハンガリーの内乱鎮圧に協力した為、オーストリアも中立を破らないと思い込んでいたこと。実際オーストリアはロシアがトルコが支配するバルカン半島のスラブ人に自治や独立を促す事によって、自国内のスラブ人が反乱を起こす事を恐れたため、敵対行動をとったという事が、予想できなかったというのだから・・・ええっと、政治家向きではないかも?
 ドナウ川流域に侵攻したロシア軍がトルコ軍に阻止され、英仏の援軍を見て撤退、そして英仏土は更なる戦火の拡大を狙ってクリミア半島セヴァストポリを攻めますが、思い付きの行動の為、双方ともに泥縄準備で泥沼の戦いとなり冬を迎えたところで下巻になります。
 いや、数行読んだだけですが、ロシアの冬は恐ろしや・・・