本忘れた

 昨夜就寝前に読み終えた本を店にもってくるのを忘れたので、図書館に返却にいけないであります。うう〜。
 まぁ明日返却すればいいってだけなんですけれども。そう、読み終えた本です。

 史上ではどちらかというと後白河法皇の方が有名なような気がしますが。だって天皇としての在位は三年ぐらいだし、お飾りだったし。
 政界というのは何時の時代でも権謀術数の奇奇怪怪な世界なんですが、この人ほど、人生が変わってしまった人も珍しいかも知れません。
 まず天皇になる事は予定されておらず、義母美福門院と藤原忠通の(おそらく)策謀によって兄崇徳上皇の血統が皇位継承を否定されると、まず自分の息子が継承予定者になります。んで『父親が天皇でなかった皇子が天皇になった例はない』ただそれだけの理由で天皇に即位します。
 保元の乱崇徳上皇藤原氏長者であり莫大な財力と武力を保持していた藤原頼長が敗北し、王家の優位が決定づけられると、彼はお払い箱でした。王家の財産は義母の美福門院が握っており、彼が生活していく為の財産は頼長の個人的に持っていた荘園をあてがわれたのみ。
 天皇の人事権を握る家父長権が院政の実態なのですが、王家の『本家筋』は美福門院であり、その養子となった実子、二条天皇であり、部屋住みより良くなった程度の身の上。
 それが変わるのは二条天皇が若くして亡くなり、世継ぎの皇子が幼いうえに母方の実家も身分が低く、つまり政治的にも経済的にも非力であった為であり、六条天皇として即位しても政局が安定せず、結局後白河の皇子が即位して彼が主導権を握る前提が生まれました。その高倉天皇の母親が平清盛の妻の妹であり、そしてその高倉天皇に清盛の娘が嫁いで平氏との提携がなります。
 実は平氏も藤原摂関家の長子が若くして亡くなり、その後継者が幼少。後家となった清盛娘が摂関家の財産を管理する、という事にして、実は清盛が摂関家の財産を横領した事により、莫大な財力を持つようになります。
 そのままいけば後白河=平氏政権は安泰でしたが、後白河が最も愛した平氏につながる建春門院が亡くなったところから、清盛との調整を行う者がいなくなり、利害が対立。内乱に突入していきます。
 帝王学を納めていない故のバランス感覚のなさと、生来の政治的嗅覚で、妙に結果的にうまいこと、亡くなるまで政治的実権を持っていたというのが副題『日本第一の大天狗』と源頼朝に言わしめたって事ですかね。
 ここには書けませんでしたが複雑な人間関係が政治的な影響力を持ち、人の運命をつかさどっているみたいで、不思議なものですよ。