二冊読み終え

 バラバラ同時進行で読んでいたものが二冊読み終えたので。

リトル・シスター (ハヤカワ・ミステリ文庫)

リトル・シスター (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 村上春樹さん翻訳のレイモンド・チャンドラーはこれで三冊目なんですが、ようやく解りました。私立探偵フィリップ・マーロウは推測、推理の人なのだと。意表をつく展開でありオチなんですけど、マーロウくんの不平不満、不遇、格好つけ、トラブルに直面しているのを見ているとあんまり唐突感がなく、すんなり入ってくるんですよね。マーロウが謎を解いている筈なのに、誰にも感謝されないし(大概の警官からは胡散臭い非協力者と見なされて邪険に扱われる)、マーロウ自身も事件解決によって利益を得ている訳ではない。
 自分もポリシーを貫き、女性にもそこそこモテるのに、この不幸せ感、もやもやした感じ。これがハードボイルドなんだなぁ、と思ったりしました。次も読んでみようかな?
 もう一つはこれ。
天皇はなぜ万世一系なのか (文春新書)

天皇はなぜ万世一系なのか (文春新書)

 もう一つタイトルつけるなら「日本人は何故世襲を容認し、信用するのか」みたいな?
 ご本人か母子家庭から東大にすすみ(たぶん)お母さんの『教育は裏切らない』という信条に基づき現在研究者として身を立てておられるのですが、ご本人がおられる東大の史料編纂所というところは結構不遇というか、あんまり評価されていないところのようです・・・東大なのに。
 そんな訳で能力で現在の生活を手に入れた著者にとって世襲というのは、用意された座に生まれながら滑り込むという理不尽な制度なので、なんでこれが日本人になじんでいるのか、もっと言えば努力してなった官僚が悪くて、座して政治家になったような連中はいいのかよ?という思いがあるらしい。
 官僚が悪いとは、自分も最近は思わなくなりましたが、世襲議員がそう簡単になれるかといえば、さてどうかな?とも思うので・・・田舎でも最近は厳しいし、田舎ほど利益を還元してくれない政治家は役立たずと見なされるしネ。
 この著者の方、結構面白いので好きなのですが、今回は色々考えるところもあり、全面的には支持できなかったかな?話としては面白いけどネ。