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 以前にも講談社学術文庫版を読んだ事があるのですが、良く解らないなぁ、と。『ローマ人の物語ルビコン以前』を読んで概略を理解し、今回、新訳で地図が載っているなら、と読んでみた次第。

カエサル戦記集 ガリア戦記

カエサル戦記集 ガリア戦記

 固有名詞が伸ばす部分が多くて読みにくい・・・日本に入ってきているラテン語はドイツ読み経由らしいのですが、塩野七生さんはイタリア読み、もしくは慣用読みで表記されていたので、そっちに慣れているとつらいです。どちらが原語に近い読み方なのか、解りませんが・・・イタリア語が『ラテン語の長女』なら、イタリア読みの方が近いのかね?
 さて、地図がついているので軍勢の配置とかは解りやすいですが、一番知りたかったウェルチンジェトリクス(オイラが覚えている読み方なので違うかも知れません)がカエサルに対して唯一攻勢を仕掛けた戦いは、やっぱり良く解らん勝った。優勢なガリア騎兵が歩兵のローマ軍団兵主体のカエサル軍に襲い掛かったのですが、ローマ側は兵力を三分して対応して勝ったと。そんだけ。だいたい想像はつくけど・・・まぁいいや。
 さて、カエサルらぶーな塩野さんはガリア戦記の記述を疑っていませんが、というか疑う材料がないからなのですが、今回の訳者は疑っています。こちらも反証材料がない為に、書き手が自分の書きたい事のみを書いている可能性を否定できない、ということ。まぁガリア人の心象良くないところを書きたて、自らの戦争の正当性を訴えているという事ですが、それは考えられる事ですし、自立を望むのは人間の性質ですし、そしてカエサルが書くように噂に踊る、自分を追い込む為に残虐行為を行うという事もありそうです。
 実際のところ検証材料はなく、ガリア側資料もなく、ローマ側もカエサルの残した『ガリア戦記』ぐらいしかなく、そしてこれはプロパガンダの要素が含まれている事が明白なものです。ただ多くの人がガリアで実際のガリア人たちに接しているのですから、ローマ人にとって不自然なガリア人であった筈はなく、やはりこれがローマ人にとってのガリア人であった、というところで落ち着くのかなぁ。それ以上は現代人が何を言っても無駄な気がします。そんなところ。