苦い物語

 シリーズものだけで止まるかと思っていたのですが、なんか米澤穂信さん作品にはまっています。文庫本でチョイスですけどね。それでSF作品という事で読んだもの。

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

 読んでいる最中から、うはーん・・・うわーん・・・といたたまれない感じ。この方、デビュー作の『氷菓』のせいなのか青春小説の旗手みたいな言われ方していますけど、というか自分がそもそも青春小説なんてもの読まないのですが、ただ登場人物がハイティーンというだけで、別に社会人に置き換えても構わないんぢゃないかしらん?舞台装置と設定の固定化で、より劇的に感じられるから、そういう表現をしているのだと思うのですが・・・だから青春小説なのか。
 まぁ主人公の誕生からして、なんか仕方なーいってな感じらしく、いたたまれない。徹底して受け身の考え方と人生を送っていた彼。彼女のような存在が亡くなった東尋坊へ行ったら、何故か自分が生まれる理由になった、生まれる前に亡くなった姉が存在している世界に。当然自分は存在せず、というか自分以外は全員存在していて、そしてポジティヴな姉の影響なのか、自分が元いた世界よりも明るい人々になっている。何故?みたいなところから始まる物語。
 こういう痛々しい事って思春期に乗り切ってしまいたいところですが、中高年になったって、心どこかに抱え込んだり、成り行きに流されたりしたりするもので、いたたまれない・・・でもそういうところをえぐられるのは、何か自分自身を顧みるようで、このままぢゃいけないと思ったりもする・・・青春って歳関係ないって事なのかね?