アメリカの英雄は品位に欠ける
読中読後の第一印象はそんな感じです。
- 作者: 増田弘
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/03
- メディア: 新書
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自分にとってのナポレオンは有能な軍人、勤勉な行政官、卓越したプロパガンダですねー。天才と言えるほど超越性は備えていない印象です。
マッカーサーという人もそんな感じで、更に「お山の大将」的な内向性があります。従う人間には優しいけど、逆らったり、倫理的な問題を犯すと大変冷やかになる、という特徴も。彼を立てればやりやすいのは確かです。有能ですからね。ただ、取り扱いを間違えると大変な事になる・・・ワシントンにとっては面倒くさい男でした。
この人を素直に『偉人』とたたえる事ができず、『有能な人』評価になってしまうのは、自己意識が高い事に加えて、自己防衛が激しいこと。自分の誤りな失策、自分に対してくわえられた侮辱を忘れる事ができず、執拗に復讐を遂げようとしますし、前言をほうかむりして、言った事を言わないといったり、自己弁護を臆面もなくやってのけたり・・・まぁ「潔さ」というものが欠落する場面が結構見られるのですね。
かといって勇気にかけている訳ではなく、戦場では前線に出てヘルメットもかぶらず視察するなんて事もやっています。対人関係に自信がない、ってとこですかね?
大戦後日本の占領政策を行い、朝鮮戦争の対応に失敗して退役する事になりますが、良くも悪くも、尊敬しきれないアメリカの行動を体現した人物と言えますかね。
だからアメリカも『有能』と評価するけど『尊敬』までは見れないのかなぁ・・・