タイミングの問題です

 なんか今日は肌寒いですね。二度寝した時に布団をかぶったのですが、これがまた気持ち良くて十五分ほど寝過ごしました。はい。まぁ遅刻とかしないレベルというか、アタクシは目覚まし時計を十五分早めているので、もーまんたいなのですけど。
 さて読み終ったもの。

 文庫版が最初に出てきたので、ちょいと探さなきゃなりませんでしたよ、ここに商品貼り付けるのに。
 山田風太郎さんと言えば忍法帖忍法帖といえば山田風太郎さんってな感じで、忍者ものの小説は他にもありますが、あんまり忍法帖って言わないかな?そんな方ですけど、正直ね、忍法帖ものは設定や舞台が異なるだけで、あんま大して話が変わらんのですよ、と不逞にも思ってしまう。なので、ちょいと違うジャンルを読みたいな、と手にとった次第。ま、借りたんですけどね。
 明治の捕物帳かと思って読み始めたら、違うんですな。都筑さんの『なめくじ長屋』シリーズとは異なりますが、警視庁を笑うという目的で、元八丁堀同心と岡っ引き、そして元南町奉行が活躍するのですが、時代感を出すために、実はこの人は有名ななになにさんの父親とか、成人したらなになにさんになるとか、そういう明治の『偉人』をちょろりちょろりと出させたり、時代の風潮みたいなのを取り入れ、最後は西南戦争に元同心が抜刀隊として出征していくところで終わっているんですよね。
 読み手としては、彼が無事に戻って同棲相手の芸妓の元に帰って欲しいと思うけれども、書き手の立場に立つと、蛇足なんですわ。明治政府にあんまり好意を持っていない著者は、滅びゆく江戸を哀惜しつつも、流れとともに消え去っていく姿を描きたいのであって、時代に乗れない不器用な者は消え去るしかない。生きていても腑抜けでしかない、という事を冷徹に描いている訳です。
 だから、こちらの望みは、こちらの脳内で補完してやるしかないのですが・・・そういえば佐藤賢一さんがジャンヌ・ダルクを助けて夫婦になった傭兵隊長が、腑抜けになって死んでいく、みたい話を書いていたな。宝塚歌劇化していたけど、自分的に「ないな」と思いました。生き場を失った男が、壊れるさまを佐藤さんは書き、山田さんは書かなかった。それぞれの美意識の違いって奴ですよね。
 次も読もう。