脅迫

 昨日イスラム国から誘拐した日本人に対して二億ドルの身代金要求があったそうです。歳をこす前には家族に対して十億円の身代金を要求したとか。
 映像の専門家は合成映像の可能性を示唆しています。最悪、お二人は既に亡くなっており、カウンターテロの経験が少ない日本から、何としても身代金をぶんどろうと考えてやっている事かも知れません。タイミング的に安部首相
イスラエルを訪問している時を狙ったと言えます。
 この要求に応じる事になると、世界中の日本人が誘拐の対象になりかねません。野党やマスコミは苦渋の決断を迫られる政府に対して攻勢を強める事になるでしょうね・・・誘拐によって大金をせしめようというイスラム国など問題外ですが、こんな事態でも政府を非難する事に存在意義を見出さざるを得ない存在というのは、下品極まりないですよネ。平和主義の左巻き野党の言動に気をつけたいと思います。
 それはさておき、読んだもの。

武田勝頼―日本にかくれなき弓取 (ミネルヴァ日本評伝選)

武田勝頼―日本にかくれなき弓取 (ミネルヴァ日本評伝選)

 著者の方は山梨出身で大変思い入れがあるようで、つまり大変記述内容は気を付けなければならないという事になるのですが、他の著作はバランス感覚に優れていると思ったので読んでみました。
 武田勝頼という人は、かなり教養のある人で、粗暴な人ではなかったこと。悲劇の原因の一つは、元々信州諏訪家の跡継ぎであった彼が長兄義信の自害を受けて武田家跡目になってしまい、吏僚派と武功派の対立が始まりつつあった武田家に諏訪家から連れてきた家臣が入り、三つ巴の対立になってしまった事かなぁ。
 長篠の戦はおそらく武田側は徳川勢に少数の織田援軍が合流した連合軍と戦うつもりでいて、織田が主力を引き連れていたとは考えていなかったのでしょう。
 あと御館の乱で同盟者北条の推す景虎ではなく、景勝を選んだのは東側を北条の勢力圏で包まれるのを嫌った為と評価していますが、もう一つ、南北に長くなるように領域を広げるのではなく、同心円状に領域を広げ、家臣の野心を満たすために北条を敵として選んだのではないかと。そうでなければ北条包囲網というべき体制を構築し、主力を東に回した意味が解らなくなります。これは長篠の戦で敗北して揺らいだ自身の権威を取り戻す為に必要な事でしたが、結局織田、徳川の攻勢に勝頼が助けてくれないと家臣に判断させることになり(高天神城の失陥)、武田家は雪崩を打って崩壊する事になります。
 著者の弁解は理解するけど、やっぱり伝統的な同盟国に対する裏切りは高くついたというべきでしょうね。
 ちなみに織田徳川同盟は一度もお互い破る事がありませんでした。どうも武田家というのは機会主義的に敵味方を変える癖が信玄の時代からあり、こりゃ勝頼どうこうではないとか思いましたヨ。