ちゃんと見た

 そういえば歌舞伎というものをキチンと見た事なかったのですがWOWOWで放映していた『平成中村座』さんがNY公演した『怪談乳房榎』という演目を録画して見ました。
 長らく演じる人がいなかった演目を亡くなった中村勘三郎さんが復活させ、この度、息子の中村勘九郎さんが主役を張って演じられたのですが、これは大変な演目ですわ、主役が。
 大筋はどって事ない怪談からみの敵討ちモノですが、殺される絵師、菱川重信。その使用人の正直者、正助。そして重信を殺す男の片棒を担ぐ、三次。この三役を主役が早変わりして演じてみせるという忙しさ。舞台道具の陰や着物、筵などなど、あらゆる陰を使用し、寸時に入れ替わって見せるというのは圧巻で、特に滝壺でのとっくみあいでは、重信の子を救おうとする正助、それを子供もろとも殺そうとする三次、幽霊の身になっても子を助け、正助を諭し、三次を片づける重信、とまぁ激しい乱闘シーンを演じながら三役を入れ替わり立ち代わり演じるのです。
 顔を見せないように演じて勘九郎さんが三次の時は正助を、正助の時は三次を演じる人が出てきますが、時々確認するのが疲れる頻度で入れ替わるので、混乱したりします。
 ・・・長い間封印される訳だ。演じ分けもさることながら、この瞬時の入れ替わりが芝居の肝であり、これが見事にできなければ芝居の面白さがなくなってしまいますもの。
 あと、中村さんはご兄弟で出演してみえますが、声色が、中村勘三郎さんに似てきている・・・まぁ声の出し方、所作、演技の師匠なんだから似てくるのは当たり前ですが、こういうところに『血』を感じる人もいるのかなぁ、とかぼんやり思いました。
 また機会があったら見たいものです。

怪談「乳房榎」 [DVD]

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 この話、元ネタは落語なんだ。へー・・・