またには渋いところ
渋すぎるかもしれません。
- 作者: 黒田基樹
- 出版社/メーカー: 岩田書院
- 発売日: 2013/02
- メディア: 単行本
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関東における室町体制の具現者である山内上杉氏は、室町幕府との深いつながり故に、関東の管轄者である鎌倉公方とは対立する宿命にあり、それが関東戦国期の開幕をつげる享徳の乱に発展していきます。
この上杉氏と鎌倉→古河公方の対立が実に二十年も続き、それを解消する前にそれぞれの陣営の内紛が噴出。古河公方も山内上杉氏もその対応に追われます。それがまた複雑に絡み合っているのでなんともかんとも。
結果的にはその内紛の間隙を『他国の凶徒』である伊勢宗瑞、北条氏綱父子に突かれ勢力拡大を許すことに。といっても古河公方も山内上杉氏も、駿河の今川氏とほぼ一体の存在だった時期から北条氏を利用しているので大きな事は言えませんが。
山内上杉氏の没落は上杉憲政自身の資質より前に、二つの戦国大名と正面から戦ったら、まず負けるという多数の論理。そして彼の家督継承でようやく終止符を打った山内上杉氏の内紛による弱体、権威低下があったと思います。この上杉氏の本拠ともいうべき上野は、武田、北条、上杉三者の角逐の場であり、そこで活動していた国衆も秀吉の小田原合戦により北条氏と運命を共にした事もあって、ほとんど記録が残っていません。
その戦国大名としての実態は、国衆連合体であったというぐらいしか判明していません。今後の研究も進展するのでしょうか?しかし西国、近畿に比べると東国戦国大名の資料は比較的残っているので、楽しいですネ。