今朝は文芸で

 読み終えた小説本の感想。

深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

深紅の碑文 (下) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

 『華竜の宮』の続編ですね。どう見ても著者が青澄誠司という登場人物に対する愛情から生まれた・・・ような気がする。
 数百年未来の地球。気候変動により海面が上昇し、人類は陸上人と海上人という二種に自らを改造して(海上人が改造された方)暮らしていたのですが、破滅的な地球の地殻変動が予測され、深宇宙開発を諦めていた人類には逃げる場所がない。そしての破滅に備える為に陸は海の資源を買い占めようとし、困窮した海側がテロリズムに走って・・・という世界。
 出口ナシの未来史。しかも希望のようなものがあり、そして青澄誠司が亡くなっても主要登場人物の一人の行方が解らない。これは、続編つくる気ありありですね!!
 環境に適応する為に自らを改造する事をいとわなくなった人類は、上記の二種に加えて深海で生きていける魚人、そして徹底した自己管理能力を持つ『救世の子』と四種に分類。これから破滅的地殻変動を凌いで人類がどう生きていくのか。もし続編が発行されれば、読みたいなぁ。
 まぁ全てのエピソードが完結しないと買わないと思うけど(あ
抹殺

抹殺

 『ススキノ探偵シリーズ』の著者の、連作短編集です。今回は淡々と、どうも国とかの汚れ仕事を請け負っている人々の話。でも陰惨じゃないし、必ずしも人を殺す仕事ばかりではない。まぁ社会的に抹殺しちゃったりしますが。
 養護施設を運営している坊さんと、体が不自由な難病持ちの画家さんというコンビ。そして売れる為のギミックであるエロい設定も完備。しかし読んでみて思ったのですけど、画家さんの介護人兼愛人の女性が二人っきりの時は全裸という設定、逆にこの小説の可能性を縛っているのではないか?と思ったり。
 映像作品にする場合、難易度が高くなるし、また金での契約関係だけど、けれども心を通い合わせていて、そして画家の病が進行したら別れなければならない二人の関係は、女性の全裸をはさまなくても表現できたのでは・・・?でも売れる為のギミックだしナ。
 必ずしも殺さない『必殺仕事人』みたいな話なので、こっちも続編が出るといいなぁ。べたつかない人情話がいい。