ようやく主人公

 先週金曜日に買いました、はい。

 十四巻になってようやくトルフィンが主人公面になりました。長かったねー。
 しかし無抵抗でクヌート王との直談判に望んだトルフィン。征服地イングランドの維持に軍費が必要で、その軍費を賄う為にデンマークの豊かな農園を接収しようとしたクヌートは、生ける修羅であるヴァイキングを救う為に楽土をつくると言っております。
 そんなクヌートへの説得は失敗。逆にクヌートはトルフィンにどうすると尋ねます。海千山千の欲深き者たちの中にいるクヌートからすれば、交渉とは自分の主張を相手に通すためにやるもので、脅したりすかしたり、宥めたり利益供与を示唆したりするもの。
 ところが王に逆らったトルフィンの答えは「逃げる」でした。いくら優れた戦士でも何十人もいる王の近衛を相手にする事はできない。クヌートを殺したからといってどうにかなるものではない。ならば、逃げるしかない。
 まぁ、この答えは半ば解っていたのですが、その後のクヌートの反応に不意打ちをくらいました。笑ったのです。それだけ彼は緊張を強いられた治世を送っていました。幻で先代の父王のあざ笑いを聞くほどに。ところが大変素直なトルフィンのいい様に、呆れると同時に心が洗われたみたいですね。
 クヌートに信じる道を生きろといい、自分はそこに住むことのできない者の為に、別のやり方で平和な国をつくると言い切ります。自分はお前に比べれば非力だから、仕事を増やすなとも。それに対してクヌートは笑いながらいいます。「こんなに難しい交渉は初めてだ」
 結局クヌートは農園を奪取する事なく引き上げ、財政を圧迫していたイングランド駐屯軍を解散。それを自分たちへの信頼の証と受け取ったイングランド住民から王に認められるという、おやおや、いい流れですネ。
 トルフィンの方は十うん年ぶりに故郷に戻りますが、誰も彼の事を覚えていない。姉など「騙り野郎」と罵る始末。唯一、母親だけは「(父親)トールズと同じ目だわ」と認めてくれました。それで一件落着の筈が、本物と解った姉は「今まで何処ほっつき歩いとんじゃ!」とやっぱり鉄拳ぱんち。
 ああ、明るいラストでしたねー。次巻は半年後ですかねー。楽しみですよ。