亡くなって確認するオイラって

 『レジェンド』視される人を生前あんまり気にせずに、亡くなってから確認するという典型的なアレな人なアタクシですが、この映画を見て再確認しました。あう。

 うちの親父も若い頃の談志さんの演目を見たり聞いたりしていたそうです。
 マスコミに漏れてくる同業者への過激な発言のイメージが強くて、どんな噺をされるのか、ちっとも知らなかったのですが、理屈っぽい噺をする人らしいですネ。ただ晩年の噺を見る限り、間合いが短い。一体どこから噺が始まったのか解らないまま、あ、始まっているっていう事に気がつく始末。
 聞いたのは『やかん』と『芝浦』。『やかん』は小噺というか小作品で、登場人物二人のとんちきなやりとりを演ずるもので、面白かったのですが『芝浦』は人情モノ。泣かせる話が苦手なアタクシはうつらうつらしていたのですが、さて盛り上がる愁嘆場になると空気が変わり、はっと気がつくのですよ。
 『芝浦』は飲んだくれの魚屋がおかみさんに助けられて真っ当な人間になる、という話ですが、その夫婦のやりとりが凄い。おかみさんと魚屋との演じ分けがはっきり解り、おかみさんの時は女にしか見えないし、魚屋の時は男にしか見えない。
 これが談志の芸なのか!とはっきり理解した瞬間でした。
 うーむ、生で見るべきだったよなー。