題名見て解る人は少ないと思う

 オイラも良く解らんかった。読んだ後も理解したかどうか(え

明代海禁=朝貢システムと華夷秩序 (東洋史研究叢刊)

明代海禁=朝貢システムと華夷秩序 (東洋史研究叢刊)

 中国の明王朝時代を中心に、その外交、貿易の実体を論じる・・・みたいな感じ。明王朝は前代の元王朝を滅ぼしましたが、異民族である事を理由に滅ぼした訳ではなく『徳が去った為』としています。モンゴルによる中国支配を正統と評し、その後を受けた自分たちも正統、という論理ですネ。
 前提には民族主義ではなく、中華文明を受け入れた者は文明人として評価する、という古代以来のスタンスが存在しますが、一方では元の残滓を討滅し切れなかった事も理由にあるかも知れませんネ。
 その元は世界征服をやり、皇帝が天子として諸族に君臨するという理念をある程度実現化してしまった帝国で、明もそれを目指しますが軍事的限界は否めませんでした。特に沿岸部は最初から問題だらけ。覇を争った群雄の残党と海外の海商、海賊がくっついた倭寇は、明の国都が当初南京に置かれた事もあって、国政上の大問題でした。
 加えて明が元を越える帝国となる為に、朝貢によって諸国が明を支持、服従するというスタイルも必要でした。
 そこで明は国家間の交渉は行うけれども、海防の問題上、民間の交渉は一切行わないよ、という立場になりました。
 中国の歴史は長いですが、国家が外国との交渉にここまで強く干渉したのは明だけでした。その時の王朝の実力(軍事力、政治力、経済力)によって諸国との関係も変わるものですが、明はそういう時代だったという事ですかね。ある意味、現代中国にもつながる『専制国家』として完成された瞬間でもありました。
 まぁ五十年もたてば、その強制力も経済の必要から崩れてしまうのですがネ。はい。