実体はこんな感じ?
ちょろり前にこんなのを読みました。
ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)
- 作者: 鹿島茂
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/10
- メディア: 文庫
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ナポレオンは誰でも知っている軍事の『天才』ですネ。まぁアタクシはどっちかというとプロパガンダの天才と称したいし、『ブラック企業』の営業マンとでもいいたいぐらいに自分の仕事は寝食忘れてやっちゃう男です。
タレーランは祖国フランスにこそ仕え、フランスの地位と安全を守る為ならばありとあらゆる手段を行使する外交フィクサーです。博識で社交的で、そして放蕩もの。
フーシェは実直な理科教師が革命の荒波の中で陰謀家として目覚め、革命期からフランス帝政期の警察機構を構築し、一手に率いていました。陰謀スキーな男。
この三人の男たちを軸に革命期から帝政期の事が語られているのですが、ナポレオンは、まぁ、イヤな奴ですよ。ガンガン仕事をするけど独善的で、周りが見えなくなるという男。体育会のアカンところが集まったような感じ。
フーシェは陰謀する事が大好きで、その為だけに生きているという男ですが、最後は貴族の未亡人に恋して失脚するというらしからぬ顛末。
タレーランという男こそ、十八世紀末から十九世紀初頭のフランスを守ったとも言えます。『フランスと自分の栄光』の為に狂犬のようにヨーロッパに喧嘩を売り続けるナポレオンの有能さと仕事に対する熱情をコントロールしようとしますが、ナポレオンの自意識は他人の支配など受け付けません。
そこで彼はオーストリア、ロシア、イギリスとの人脈を屈指し、パワーバランスによるヨーロッパの平和の為にフランスを革命前の勢力で温存するよう努力し、ほぼ成功します。
ナポレオンのやらかした『祭り』の後始末をしたとも言える訳で、ナポレオンが評価されるならタレーランも評価されるべきでしょう。
タレーラン自身はナポレオンの事が個人的には好きだったようです。革命期の政治家たちは内ゲバと陰謀に終始するか、怠惰な無能者ばかりでしたから、建設的に仕事をする男として、そして自分に外務大臣職を与え、収賄の機会を与えてくれて、とても感謝していたようですよ。当時の外務大臣がリベートをもらう事は公然の秘密でした。
彼自身に子供はいませんでしたが、一族に『ナポレオンの子孫が立つような事があれば協力しなさい』といい残したのは、利害を越えてもナポレオンの事が好きだったとしかいい様がないですネ。
そういえば『銀英伝』の帝国側はナポレオン軍の司令官たちを参考にしたとか、どっかで聞いた事があるのですが、という事はラインハルト=ナポレオンなのか。どうりで好きにな(以下略