読み散らかし

 いつもの事ですけど。今朝は三冊。

 年に一度のドロドロヴィクトリアン貴族の家庭劇。ようやく登場人物の内面が全てさらけ出されました。このどうしようもない伯爵夫妻はどのように物語の決着をつけるのか・・・つけないのか?
 山ほどいる嫡出子、庶子たちの事を思えば現状維持でしょうが、伯爵が「もーボクチン耐えられない!」みたいになって愛人の一人(というよりも再婚した相手みたい)に告白するのが、この巻。次巻はただでは済まない、もしかしたら完結編かもネ。
 しかし、考えれば考えるほど魔性の人格というか表裏がバリバリある登場人物ばかりですよ。ぶれない奥様以外はネ。 絶版になっていたのがようやく再版です。というか再版されるとは思っていなかった。これは鶴田さんの『続さすらいエマノン』が出版された後に決定されたのかしら?もちろんマンガ版も持っていますが、なんか、こう続きそうだったのでコメントしませんでした。
 なるほど。エマノンシリーズはオムニバスみたいなものなのね。まぁこれだけの数の短編を作り続けるには、それしかないのですが。
 これから四ヶ月ぐらい連続で文庫本が再版されるようです。就寝前に一話読むのが丁度良いので、毎月購入しようと思っています。
 なんだかんだいって鶴田さんの「エマノン」が好きなんだよねー。
 最後は真面目な本。
金沢貞顕 (人物叢書)

金沢貞顕 (人物叢書)

 歴史に詳しい人でも「誰?」という名前ですが、鎌倉幕府の十五代執権です。数ヶ月でリタイアしましたが。
 昔NHKの大河ドラマ太平記』にも描かれていましたが、気配りの人であんまり強い政治的意欲を持たない。彼の一族北条氏の中でも後世金沢氏と呼ばれる人々は、北条家庶流の中でも連署、執権を輩出しない二流どころでしたが、彼の代になり家格を上げ、幕府中枢に若い頃から関わる家になりました。
 本人も真面目な努力家で、また一族も勉強家なのですが鎌倉幕府末期の政治状況がそうさせたともいえる感じ。
 また幕府滅亡の直接要因は、外戚安達氏と内管領長崎氏の対立で幕府中枢が機能停止状態になり、ただでさえ混乱していた世相に幕府が無力、無対策である事を暴露してしまったが為、という解釈を始めて知りました。
 一般的解釈だと安達氏は霜月騒動で壊滅したと言われるのですが、その後『平禅門の乱』で北条氏外戚として復活します。また平禅門の乱にダメージを受けた内管領長崎氏も傍流が復活します。研究者は「能力ではなく家を中心としたあるべき姿」という形式重視の人事であったといいます。
 それでも機能したのは病弱な北条高時を支えなければならない、という周囲の人々の家庭的な温かい努力があったからだ、といいますが、政治がそんなものでどうにかなるなら、皆善人になるよ・・・というお話。
 色々興味深かったでありますヨ。