二十年ぶりの新刊

 これです。

 途中、なーんか読みにくいなぁと感じたのですが、読了してようやくわかったような気がしました。
 この巻で軍事的才幹を持った重要人物がお亡くなりになるのですが、そのシーンが大変すんなり自分の中に入ってきまして「もしかして、この人がこの巻で亡くなる事『だけ』が決まっていたんぢゃね?」とか想像しますた。
 それまでの文章がどうにも読みにくい。同じ章で場面があちらこちらに飛ぶし、似たような文章が繰り返されるし、章を分ける事がシーンの転換に使われるとは限らず「なんでここで章を分けるのか、必然性が解らん」と感じることしばしば。
 必要以上にイドリスくんを無能ではないと持ち上げるのですが、やることなすこと無能としか思えないことばかりやっているし、自分が最も好きなファン・ヒューリックは、まったくいいとこナシ。
 これは推測なんですが、二十年前に著者が新刊を出す事を断念したのは、展開は決まっているけど、そこへたどり着く物語を思いつかなかったからではないか、と思うのですよ。だってその前の『銀河英雄伝説』でさんざんやりましたからね。自分が納得できるネタが見つからなくて断念したのではないかと。
 最近のアニメ化とか、アニメ監督がお亡くなりになるとか、そういう外的プレッシャーから続編を出す事が決定したのだと思うけれども、やっぱり大したネタは見つからず、無理矢理やって見ました感がある気がします。
 しかし、自分は逆に次巻が楽しみになりました。だって軍事的才幹を待つ登場人物がファン・ヒューリックしかおらず、そのファン・ヒューリックには海賊船一隻しかない。無理矢理軍事的ネタをひねり出さなくても政争で決着をつけなくてはならないのですから、『天才』を演出する必要はなくなったのですよ。
 次巻が最終巻の予定の筈ですから、キリキリ描いて二十年ぶりに宿題を終えて欲しいと思う訳です。はい。