韓国の病巣を見た・・・気がする

 正確には読んだ、ですけどネ。

倒れゆく韓国 韓洪九の韓国「現在史」講座

倒れゆく韓国 韓洪九の韓国「現在史」講座

 外国人が韓国の事について書いているようなタイトルですが、韓国の現代史の学者さんの講義をまとめたものです。
 講義という性格上、統計とか引用もととかが正確に書かれている訳ではなく、また訳文も韓国語表現をそのまま日本語にしていて、もうちょっと意訳してくれないと意味が正確に解らん、という部分もあるのですが、近くて遠い韓国内の実情というか、生の現代史に触れたような感覚が読後にありました。
 この方は『進歩派』と自称されており、また政治的にもそういう活動をされているようです。そういう人の視点で描かれた近現代史は韓国政府が抑圧する姿でした。
 『保守派』の事を親日派と呼ばれている事にものすごい違和感があります。『保守派』が日本と仲良くしていきたいと一貫して言った事はないし、『竹島は韓国固有の領土だ』『対馬もだ』と主張している人たちはどう見ても右巻きの人たちです。
 これは、かつて日本統治時代に日本人の吏僚の部下となって働いていた人たちが戦後アメリカ占領下で、日本統治時代と同じ事をして『支配』していた事によるようです。韓国人にしてみれば、憎い日本人に協力した売国奴が、解放されたのにやっぱり自分たちを支配している憤りですかネ。
 この人たちが国を再生させるのではなく、国を食い物にし続けているというのが現代史らしいです。
 中国や韓国が日本が再軍国化する事に警戒するのは、これがあるからなんですね。日本人にとっては戦後は68年前の遥かな昔です。そして軍部は日本を破滅に追いやった組織として、切り捨てられました。組織そのものは自衛隊に継承されましたが、もはや庶民の目には、頼れる、尊敬すべき組織ではなく、自衛戦力が不可欠だから容認するという程度です。最近は災害救助活動とかで再評価されるようになりましたが、自分たち外側から見れば自衛隊と旧日本軍を連続的に捉えているという人は、あんまりいないと思います。
 しかし中国はともかく、韓国人が同一視する理由が解ったような気がします。何故なら、自分たちの目の前に旧日本の尻尾が存在するから。日本統治時代の統治機構を温存し、彼らは戦前の流儀をそのままにして犯罪者、あるいは政府が犯罪者とする者を情け容赦なく取り締まり、弾圧してきました。八十年代で明るみになるまで、拷問は普通の警察行動だったようです。
 日本の植民地に過ぎなかった我々が、旧日本の亡霊に苦しめられているのだから、日本本国で右翼が主導権を握ったら、一体どういう事になるのか。絶対に再侵略をするに違いない。そう主張する事に説得力を持たせる事ができるのです。
 ところが問題なのは、日本を悪者に仕立てる事は、政府が自分たちの失政から目を背けさせる安易な手法になっている事。本来、国内の危機的な状況に取り組み、改革をしていかなければならないのに、外国の脅威を煽って誤魔化している。そしてそれが解っている韓国の人でも日本を擁護したら最後、集中砲火を受けて社会的に抹殺されてしまう。
 結果が、小さな政府でありながら、国家財政が赤字で危機に瀕している、という姿になります。
 まぁ赤字国債で財政を支えているのは日本も同じなので、大きな事は言えませんがネ。
 ともあれ、現体制下の韓国とは、永遠に善隣外交というものができないと言う事だけは、解りました。都合のいい悪役をふられて、いい顔ができる筈はないはナ。
 あ、一般の韓国人の人たちとは、個別の関係を築く可能性がある事は否定しませんよ。政府と個人は別物ですからナ。