『裏切りのサーカス』

 録画していた映画を見ました。

裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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 こんなに物静かなゲイリー・オールドマンを見たのは初めてかもしれません。そんなに映画を見ている方ではありません。念の為。
 初めてゲイリー・オールドマンを見たのは『JFK』でちょろりと出てきた暗殺者として逮捕され、そして殺されたオズボーン役でしたかねぇ。セリフはなかったと思う。
 次に見たのはリュック・ベッソン監督の『レオン』。敵役スタンは怪演で、これ以降ゲイリー・オールドマン=怪演俳優というイメージがあたくしの中でできあがってしまいました。その後の『フィフス・エレメンツ』もそうでしたからねぇ。
 舞台は70年代、冷戦華やかなりし頃のイギリス。諜報機関幹部に入り込んだソ連への情報提供者『もぐら』を探し出す物語。
 演出が渋いし、登場人物がやたら多いし、一見ではナニが何だか解らない、とか映画を紹介する番組で解説者の人が言っていましたが、自分は人物の区別が結構つきました。「あ、この人『英国王のスピーチ』で主役やった人だ」「あ、この人『シャーロック』で人気が出た売れっ子だ」「あ、この人、ロバート・ダウニーJrの『シャーロック・ホームズ』一作目で悪役やった人だ」「あ、この人、イギリスのドラマに結構出ている」なーんて、結構見た事のある俳優さんが一杯出ていたので、区別は何とかつきました。
 ゲイリー・オールドマンの役はキャリアの長い、そして諜報機関サーカスの『コントロール』の右腕だった知的で物静かな工作員。作戦の失敗により『コントロール』とともに失脚。本人が把握していない作戦だったので完全にとばっちりでした。『コントロール』はサーカス幹部の裏切り者『もぐら』を炙り出す作戦も同時に行っていたのですが、両方に失敗。『コントロール』はその後病死。ゲイリー・オールドマンも妻には出て行かれて、孤独な老後が待っている・・・はずでした。しかし『もぐら』が潜伏している事を政府高官が知ったところで急変。経験豊富でサーカスから離れている事を理由に彼に『もぐら』探索の任が与えられます。
 その後も静かに緊迫しつつ、しかし荒事はほぼないまま、物語は展開。激しい銃撃戦はないけど、命をかけた工作員たちのやりとりは描かれています。風呂場では皆無防備だよ。あう。
 ゲイリー・オールドマンも銃を抜くシーンはありますが、ほとんど交渉の道具につかったみたいで、銃撃はなし。でも、それが凄みをマシます。
 最後はソ連に送還される事になった『もぐら』が暗殺され、ゲイリー・オールドマンがサーカスの『コントロール』になったような描写で終わります。
 ソ連工作員、イギリス側がつけたコードネームは『カーラ』ですが、ゲイリー・オールドマンだけはそうと知れずに『カーラ』と会った事があるとか。彼の弱点は妻だから彼を狙って機能不全にしろ、とか。ところが妻が家を出て行ってから彼の機能が復活したみたいな、そんな思わせぶりな演出やセリフが興味深かったです。
 こういう諜報戦ものは大変好みで、とても面白かったですよー。