マークスの山

 映画化、ドラマ化されている作品ですが、映画もドラマも見ずに原作を先に行きました。

マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)

マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)

 自分が読んだ版は絶版のようですねー。
 最初のエピソードは、なんか痒いところに手が届かない感じで、この先の展開がどうなんだよぉ?と気になります。んで次から次へと読んでいく事になるのですが、なんかね、警察小説というのは「組織ってのは共食いして成り立つもんだ」byキーク・キャラダイン(機甲猟兵メロウリンク)という事をガシガシ描いていくものなんだなーっと。内容の三分の一はそういう警察内の個人対個人、チーム対チーム、現場対キャリアの軋轢とか、トラブルというか。圧力、情報漏れ、足の引っ張り合い・・・そのせいで、一向に進まない捜査、事件解決・・・そして第二、第三の殺人が・・・
 日本のミステリー特有の、弁解のしようもない敵役が存在しない、というアレな話で、こういうすっきり感がないのが、日本ミステリーの持ち味なのかなぁ、と思ったりしたりして。
 映像化されたものを見ていないのですが、うーむ、たぶんこの部分が消されるんじゃないかな、とかそういう想像はできましたね。細部が面白いと思うのですがのぉ。
 でも、自分がミステリーを書けない理由が解ったような気がします。自分はもたつく展開が好きではないので、登場人物同志の足の引っ張り合いを書く気があまりないんですネ。それがドラマだとは解っているけど、決定的な決裂にならず、対立した人間関係をそのまま組織の中に内包し続ける物語が、なかなか想像できないのです。これは性格的なものですかね?もしくはまた、何か別の作品に触れれば書く気になるのでしょうか?
 さぁて、次も高村さんの作品を借りましょうかねぇ。