まだ読み終わっていないけど

 ここ数ヶ月WOWOWで月に一回から数回『トゥルー・グリッド』という映画をやっているんです。ただ自分が録画機能を覚えてからは、何故か吹き替え版しか放映してくれなくてねぇ。自分は字幕派なので、ちょいと残念。いつか字幕版も放映してくれると信じて待っていますが、愛知県図書館でその原作小説を見つけたので昨日から読んでいます。文庫本なので車の中でも読めますね!(え

トゥルー・グリット (ハヤカワ文庫 NV ホ 16-1)

トゥルー・グリット (ハヤカワ文庫 NV ホ 16-1)

 てっきり映画の小説版かと思っていたら、逆なんですね。そういえば1969年にジョン・ウェインが保安官役をしてアカデミー主演男優賞を取ったものがつくられているんですね、映画。知らんかった。
 アメリカでは教科書にも載っているような話らしくWOWOWで放映している2011年版をつくったコーエン兄弟という人たちは、原作小説は知っているけど1969年版は見ていないと言っているので、たぶん双方の映画はあんまり影響がないのかも知れません。
 羊農園を経営している一家の父親が、羊毛を販売した先で些細な事で小作人の男に殺され(まったくのとばっちりである)、馬と現金を洗いざらい盗まれます。その遺体の確認と引き取りに十四歳の長女が他の小作人(こちらは黒人の信用できる人で、後に都会で成功したと書かれている)と一緒に向かうのが発端。
 そこで保安官たちが、父を殺した犯人を追うのに消極的である(長いリストがあって順番にこなしていかなきゃ、らしい。南北戦争直後の治安の悪い時期)のを知って彼女は自らの手で、もちろん賞金をかけて腕利きの保安官補に依頼して、父親を殺した犯人を追おうとします。
 その出だし部分を読んだのですが、これが面白い。有能だけど人のいい父親、文字や計算がほとんどできなくて家事専門の優しい母親。そんな二人を見ながら、同時に世知辛くて厳しい世間も見ている十四歳の少女は、一筋縄ではいかないし、子供だと思って足元を見てくる大人たち相手に堂々と渡り合い取引している姿は、なーんかアメリカが人々に求めている者を見るようです。
 映画の煽り文句である『過酷な旅』まで読んでいないのですが、これが日本で言う夏目漱石とか志賀直哉の位置にあるのかと思うと、考え方の違いっていうのが良く解ると思いましたねぇ。