ハードボイルドの定義

 自分がお話を書く場合、精神が幼いせいか(この歳になると自分で書いてて不気味である)、十代、二十代の主人公を書く場合がほとんどなのですが、自分が今まで目を通した(あえて読むとは書かない)ハードボイルドと呼ばれるジャンルの小説は、主人公の年齢が三十オーバーなものばかりなので
ハードボイルドとは、
 一、主人公が人生にくたびれた中高年である。
 二、それなりに生き延びる術を持っている。
 三、でもスーパーヒーローではなく、一度や二度はぶん殴られて鼻血を流したり、打撲を負ったり、怪我をする。
 四、必ずしも気持ちの良い人間ではない。
 そーんな印象があります。これもそんな作品。

不夜城

不夜城

 十六年前に世に出たときは、大変評判になった本です。いずれ読みたいけど、まぁ今は・・・とか思っていたら読むことを忘れていて、図書館のミステリー・フェアで見つけたので手にした次第。
 新宿の裏社会を牛耳る中国系のギャングたち。今となっては当たり前みたいな感じもしますが、もしかしたら当時は中国人内部の組織が同郷人が基本に構成されている事すら知られていなかったの・・・かも?著者のペンネームが中国人風だったので、中国人作家によるものかと言われた事もありましたネ。
 例によって主人公は頭は回るけど、絶対の成功はしないアウトロー。というか、生き延びる為なら裏切る事は日常茶飯事という、人としてどうよ?という奴。それが同じような考え方の女に出会って、巻き込まれて、こいつを切らないと、売らないと自分が死ぬと確信していても、切ること、裏切る事ができない。そして愛してしまう。
 だが愛していても最終的には・・・という話。三部作で完結しておりまして、続きが読みたくなりましたが、良くもまぁここまで出てくる登場人物の全てが、ヒロインも含めて信用ならない奴を集めたもので、それでもヒロインを健気に感じる瞬間もあり、う、ツボに入ってヤバイんじゃね?とか思ったりしております。