もりもり読書

 自分にとって読書というものは呼吸することと同じで、別に特別な事でもなんでもなく、そして知識が身についているのかどうかという事も疑わしい(え)のですが、まぁ今日も読書しちゃうわけですよ。季節なんか関係なく。

秦河勝 (人物叢書)

秦河勝 (人物叢書)

 特に前情報は何もなく、ただ岡野玲子さんのマンガ(と断言してもいいぢゃろ)の『陰陽師』に平安京の内裏は秦河勝んちだ、というセリフがあったのを思い出して読んでみた次第。
 どうも朝鮮半島東海岸から渡来した人々らしい。どちらかというと地縁的結合を持って日本にやってきて、荒地開墾に尽力し、財力のある氏族であると認識されていた。河勝自身は厩戸皇子一族に仕えていたようだが、直属という訳ではなく、経済的に奉仕したり、当時朝鮮半島東海岸周辺にあった新羅の外交使節がやってきたら対応したり、臨時役?みたい事をしていたようです。
 後世、猿楽や能の始祖とされたのは、雅楽関係が渡来人氏族によって担われた事と関係があるかもしれない、と。
 何せほとんど当時の記録になく、中世以降から伝説として語られるばかりの人物なのではっきりした事は少ないけれども、六世紀から活躍始める渡来系氏族の実態に迫ったように思えました。
Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

 図書館で見つけたハヤカワJコレクションは、とりあえず手にとってみる。好みのSFなら読んでみるという事を繰り返していまして、コレもその一冊。話的にはマンガ『EDEN』みたいなオチっぽーい、とか思いましたが、割とすんなりと読めました。ただこの夏発見されたと報じられたヒッグス粒子が、結局みつかっていない世界だったので、うーむ、未来物ってこういうところで齟齬が出たりしたりしちゃうよね、と思ったりしたり。
 まぁ1940年代の原子力銀河帝国ができちゃう設定に比べれば誤差ですけどネ。
狼の口 ヴォルフスムント 4巻 (ビームコミックス)

狼の口 ヴォルフスムント 4巻 (ビームコミックス)

 冒頭にザンクト・ゴットハルト峠の開削はスイス人によってなされて、その時、一人の少女が結果的に山の魔王を謀って開削を約束させたから、この峠は人の命を欲する、みたいな逸話が入りました。へー。
 壮絶な本丸攻防戦。ええっと、最後の火薬兵器まではいい流れだったのに・・・せめて火薬を樽に詰めて爆破にすれば自然な感じになるのに。こんな特攻兵器を用いるほど必死で憎悪の念が強いんだー!と言いたいのだろうけど、こんな欠陥兵器を命費やして使うかなぁ?まぁいいか、フィクションはファンタジー・・・
 興味は修羅場になるといつも逃げていたヴォルフラムが、城内に踏み込まれてどう行動するのかってところ。とっとと逃げ出したら公弟レオポルドに殺されるんぢゃない?もうちょっと悪知恵を働かして活躍して欲しいところです。
 実は暑苦しくて悲壮なスイス人側よりもよっぽど好きな人物像。悪辣過ぎて絶対まともな最期を遂げないような気がするけど、時々、こんな奴が平気な顔してベッドで安らかな死を迎えたりもするので、そういうオチも『悪すぎるが悪賢い奴』として納得したり。いや、読者が納得しないな、うん。