救いのないものとあるもの

 ハードボイルド二冊読んだので。

新宿・夏の死

新宿・夏の死

 夏の新宿にまつわる、まったく救いようのない短編集。夏の死、というサブタイトルの通り、やるせない死に関わる反吐が出そうな連中が出てくる物語ばかりで・・・流石船戸さんだと思いましたっ。久しぶりにくると、そのやるせなさが胸に沈殿していって、なんか、こう、怒畜生!とか叫びたくなります。
 その後にちゃんと救いのあるものを読まないとね。
渇き

渇き

 角川春樹事務所版だと「待っていた女・渇き」と題名が変わっていますが、変えなくても大丈夫だと思いました。待っている女に相当する女性登場人物が、よく解らないので。
 ススキノ探偵と違い、記者がはめられて職と名誉を失い、妻は出て行き、男手一つで娘を育てているけど、娘の友達の母親といい感じ?みたいな零細探偵が主人公。
 ススキノ探偵は便利屋で探偵まがい、こちらは探偵で便利屋まがい・・・同じじゃねーかっ!女に持てているのか、持ててないのか、そんな微妙な距離感も似ているけど、小学生の娘を守る為に必死になっているお父さん成分が最大の違い。
 格好よくない事は解っているけど、娘にとってはヒーローみたいなところが、なんだかほっこりしました。
 やばい。このシリーズは気に入りそうだ。図書館にないと買うとか、そんな事をやりそうでこわいっっっ。