蝉の声が聞こえない

 代わりに秋の虫の音が夕方、夜、朝方に静かに聞こえます。その音は涼やかでとても気持ちが良いのですが・・・ですが・・・実際は暑いままです。それでも以前に比べれば多少過ごしやすかったので、久しぶりに冷房せずに扇風機だけで就寝してみました。寝つきの悪い子なので布団の上でのた打ち回っておりました。はい。まだ早かったか・・・
 昨日はネトゲやるぞ!って気分でしたが、臨PTに参加できず、それなら早めに月曜の晩に録画した映画を見てしまえ、と思ってそいつを見ました。

レバノン [DVD]

レバノン [DVD]

 たぶんあっていると思うのですが、ヴェネツィア国際映画祭で賞をとった作品で、大変渋いです。1982年レバノンに侵攻したイスエラル軍。司令部の指示に従い空爆した市街地に突出する戦車一台、歩兵一個小隊ぐらいの小部隊。夜明けを待って侵攻し、市街地で道に迷い、翌日の朝に戦闘域から離脱する戦車の内部を中心に、戦車の中から非戦闘員を巻き添えにしての戦争を覗き見るみたいな構成。
 戦車兵も、頼りない指揮官、不服従の弾薬運搬兵、年少の操縦手、そして初陣の砲術手は指揮どおりに砲撃できない。国民皆兵制をとっているので、必ずしも戦意の高い兵士ばかりではない。砲術手は引き金を引く事を戸惑い、武装した民兵?テロリストに突っ込まれ歩兵一人が戦死。ヘリを使って死体を後送できないので戦車の中に死体が入れられる。
 入れ替わりにやってきたトラックは敵ではないと合図しているが、今度は砲撃してしまい、四散する鶏と手足を吹き飛ばされてアラーの名を泣き叫ぶ、そこらの親父さんが地面でのたうち回る。歩兵の指揮官がその親父さんに止めの一発を撃つ。目をそむける歩兵たち。
 市街地に入るとマロン派キリスト教徒らしい市民を盾に立てこもるテロリスト?民兵?がいて、戦闘に巻き込まれて父親と幼い娘が死ぬ。半狂乱になる若い母親。
 RPGの直撃を食らってエンジントラブルを抱えながら動く戦車。そのシリア兵を捕虜にするが、市街地で道に迷いシリア軍陣地に孤立する小部隊。地元民兵の道案内はイスラエル兵がアラブ語を理解しないと知ると、シリア兵にむごたらしく拷問して八つ裂きにしてやると宣告する。
 戦車の中でも不平を言う運搬兵、それを抑えきれないヘタレな指揮官。どうしたらいいのか解らない年少兵たち。
 夜になり歩兵は目的地についたらしいが戦車は取り残されてしまう。四方八方からの銃撃、不調のエンジン。それでも何とか突破を図るが、戦車正面に直撃を食らい、操縦手が戦死。そして朝になり脱出したら、郊外のひわまり畑に出ていた、と。
 戦車の中の閉塞感、アマチュアな徴兵兵士、死への恐怖。おそらく実際の戦場に最も近い雰囲気の作品ではないかと思います。渋すぎる。流石ヴェネツィア国際映画祭ぢゃのお。