昨日は映画の話だったので

 今日はお盆休み中に読んだ本。

ザクセン大公ハインリヒ獅子公―中世北ドイツの覇者 (MINERVA西洋史ライブラリー)

ザクセン大公ハインリヒ獅子公―中世北ドイツの覇者 (MINERVA西洋史ライブラリー)

 随分前に一読したのですが、再度読んでみたくなったので手に取りました。神聖ローマ帝国のフリードリヒ一世バルバロッサの従兄弟にして、彼の政策協力者として北ドイツで勢力を拡大したのですが、権勢を振るいすぎ、また皇帝の支持こそが自分の地位にとって不可欠という事を理解していなかったせいで、最終的に帝国追放の処分を受けた人です。
 その後、子孫にドイツ王が出たり、遠い子孫はハノーヴァー家としてイングランド王位を継いだりと、かなり華やか。
 一般に中央政権というものが脆弱で群雄割拠みたいな様相の神聖ローマ帝国ですが、「お前は死ね。俺は生きる」というような生き馬の目玉を抜くような激しい弱肉強食の争いは起きず、領土を削られたり地位を失ったりしても勝者に首を斬られて滅亡という事態には滅多になりませんでした。
 子供がいなくてお家断絶という事にならないとお家は存続していくので、中世から近代まで何百年も続く名家というのは結構多いです。フリードリヒ一世のシュタウフェン家はローマ教皇と激しく争ったので斬首されてお家断絶ですがネ。
 そんな中世ヨーロッパの激しくも微温な政治紛争を垣間見た、感じ?
平安時代皇親の研究

平安時代皇親の研究

 一転してほぼ同時代の日本のこと。天皇家の皇子女が増えすぎて、経済的に圧迫されるから臣下に下しちゃえという時代の話です。官僚として成功した源氏賜姓を見て、天皇との間柄も曾孫と希薄な傍系皇族が臣下に下って官僚として俸給を得ようとしたとか、官僚としての出世も一律ではなく、その才幹によって優劣があったとか。
 あと平氏の由来は桓武天皇が建てた平安京からとったとか、源氏は中国の北魏の源賀の故事からとったとか、色々小ネタがありましたよ(マテ
ルパンの消息 (カッパノベルス)

ルパンの消息 (カッパノベルス)

 以前に読んだ『震度0』の作者の方の、世に出るきっかけとなったミステリー賞を受賞した作品です。面白いしどんでん返しもあるし、ただ現実で迷宮入りしてしまった事件の犯人を持ち出すのは児戯が過ぎる気がしましたが。
 やはり『震度0』の方が完成度が高い・・・って当たり前ですよネ。