詩のような物語

 読み進めてそんな事を感じました。映画化されましたが、見てないですけど、寺尾聡さんの配役は、はまっていると思いました。

博士の愛した数式

博士の愛した数式

 交通事故の為に1970年代のある日までの記憶以外は80分しか記憶できない元数学教授の下に、通いの家政婦としてやってきたのが主人公です。映画では深津絵里さんだったかな。
 映画を見ていないと書きましたが、何故かラスト近くだけWOWOWで見ました。子供を責めてはいかん、みたいな事を数学者が言っていましたけど、この物語が深いなぁと思うところは、数学者を愛する二人の女性の距離感みたいなもの。家政婦さんは家族として愛している、みたいな感じですが、数学者を金銭的に面倒を見ている義理の姉は違います。ただ過去の記録を見ているかぎり、この義姉と数学者は不倫関係にあった事。想像を膨らませれば、数学者は育てて支援してくれた兄を裏切る行為に苦しみながら、それでも義姉を愛していたらしいこと。交通事故で足が不自由になった義姉は、自分では義弟の世話ができず、それをトラブルも起こさず数学者にも受け入れられた家政婦に嫉妬しているみたいな気配があること。
 なーんか、こういう距離感を描きながら縮めないところがねぇ、好きだなぁ。まぁ80分しか記憶が持たない人との間では縮めようがないのですがネ。