狼の口

 というマンガを読んでみました・・・大人買いです・・・

狼の口 ヴォルフスムント 1巻 (BEAM COMIX)

狼の口 ヴォルフスムント 1巻 (BEAM COMIX)

 十四世紀、スイスからオーストリアを支配していたハプスブルグ家。その支配に対して『原初三州』と言われるウーリ、シュヴィーツニートヴァルデンが反旗を翻した話のマンガ化・・・なのかしら?いや、かなり創作が入っているので残酷ファンタジーとして読んでもいいかもね。
 興ざめな事はいくらでも書けるけど、この作者の方、抑圧された者の絶望的は抵抗、戦いというものがお好きらしく、読んでいると、うはーん!って悲鳴を上げたくなります。まるで『カムイ外伝』を読んでいるような気分。あれも史実とは異なるというか、明治維新プロパガンダの影響が強く、社会主義的な色彩を帯びていたけどネ。
 大河ものを読んでいるというよりも、スイスとイタリアを結ぶ一つの峠、その関所を抜ける為に命を賭け、落としていくレジスタンスの人々。その悲劇的な群像劇、みたいな。
 三巻ではついに、その関所を攻め落とす攻防戦が始まりました。
 落としどころは、ハプスブルグ家の騎士軍がスイスの牧人兵にぼろ負けして、ついに原初三州は実質的な自治権を獲得した!ってところなんですけど、同時に十八世紀に至るまでスイスが傭兵を輸出し、それで中立と富を得ていた時代に突入する訳です。
 前にも読んだけど、改めて読み直ししているこれも合わせて読むと、物事って単純明快じゃないのね、と思います。
物語 スイスの歴史―知恵ある孤高の小国 (中公新書)

物語 スイスの歴史―知恵ある孤高の小国 (中公新書)