今日は暑くなる予報。

 昨日は雨とともにひんやり冷えていく感じでしたが、今日は太陽が昇るので暑く暑くなっていくようです。・・・ほんとか?
 そして読み終わったもの。

フランスをつくった王ーシャルル7世年代記

フランスをつくった王ーシャルル7世年代記

 フランス王シャルル七世の評価は、『ジャンヌ・ダルクを見捨てた恩知らず』とか『優柔不断でひ弱な男』とか、そんなのが多いのですが、この本は肯定しているお話。
 イギリスやブルターニュに雇われている兵隊に散々に痛めつけられたドン・レミ出身のジャンヌは、戦争で苦しむ民衆の代表者であり、性急に、感情の赴くままに勝利を求める欲求の権化でしたが、シャルル七世は統治者であり、現実に直面し、その現実に対処しなければならないものでした。
 『税金の父』シャルル五世が税体系と常備軍に先鞭をつけたとはいえ、彼の弟たちはその力を私物化し、食い荒らします。
 シャルル六世は建て直しを計りますが、断続的に現れる狂気の病に廃人同然。
 公的利益と私的利益を両立できない支配者は国を荒廃させるという例ですが、兄たちが死没していった為に、王と王妃の十一子であったシャルルに王位のお鉢が回ってきます。
 それからはイギリスとブルゴーニュ相手の、そして晩年は自らの後継者相手の苦闘の連続でした。シャルル七世は『勝利王』とも呼ばれるのですが、本当に自分自身が勝利者だと思っていたのかどうか解らない生涯。
 しかし祖父が青写真を描いたものを彼が形にし、そして宗教戦争を乗り越えた後に、フランスは絶対王政の大国としてヨーロッパに出現します。
 その意味では現在のフランスという国を作っていった一人なのでしょう。
 それほど優秀でもない、勇猛でもない平凡な能力の彼が、歯を食いしばって王国・・・王位かも知れませんが・・・を護っていった姿が、何だかとても好きでした。