昨日の続き

 魔法少女まどか☆マギカを見ていて思い出した作品。今度は古いぜ。密林にあるかな・・・

イズァローン伝説 (1) (中公文庫―コミック版)

イズァローン伝説 (1) (中公文庫―コミック版)

 十年以上前に文庫化されていたんだ・・・というぐらい古い作品です。あっしが中学ぐらいの話だもんね。最初に接したファンタジー作品じゃなかったかしらん。これか、もしくは『風の谷のナウシカ』か・・・
 架空の大陸、架空の時代。人は王国同士を隔てる密林の中に魔の気配を感じながら暮らしていました。魔法は偏見の目で見られながらも普通に存在するもの。だがそれは過去の偉人たちが魔王を封じ込めた為に得られた危ういものだった。
 魔の気配を感じ、魔に対抗する為に、そういう人間を作り出そうとした王がいた。彼は魔法で誕生する魔女を妻に向かえ、魔をコントロールする自分の子を得ようとした。この世界では子供たちは両性具有で生まれ、思春期前に男女に分化する。だから王は自分の子供と自分の兄の子を結婚させ、王家の反映を願った。
 ところが兄の子は早々に男の子になったというのに、自分の子は両性具有のまま成長。(恐らく)これを決定的に女性化させる為に平和を愛し文化を愛でる王国に人質として出したのですが、文化に耽溺するその王国を征服する自ら起こした戦争により子供は行方不明に、王は落胆し、その後に起こした戦争で命を落とします。
 さて行方不明の王の子は魔術の才に長け、自分が魔王に対抗するべく生まれた子供であると自覚し、魔王を封じた地を訪れた際に破れた結界を直そうとして逆に魔王に同化してしまう。実は王の子のような存在こそ魔が望んでいたもの。魔とは人の悪意が結晶化したもので、人なしでは実体化できない。そして魔王は人が魔を得たものでなければならない。
 たがそれでも完全ではなく、最終的に魔王となった人の子が人によって裏切られ破滅し、肉体を失って人の精神を失う事で完全な魔王となる。
 つまりこの物語は魔王となるよう定められてしまった王の子が、自分が愛する者の為に抗い、最終的に世界を救うというもの。落ちは肉体を失った王の子が自分自身を閉じ込める事で魔に対する影響力を消し、つまり自殺に等しい行為を行って魔王復活前の状態に戻してしまうというもの。そして王の子を愛した従者に永遠の命を与え、彼を探す旅に導くというもの・・・考えようによっては呪いだな。まぁ愛するからこそ従者もそれを受けるのですがネ。
 最後のオチがなんかね、思い出してしまいましてね。何年も読んでいなかったのによく覚えているよな、オレ。大筋であっていると思うけど。
 さて厳密な表記をなるべく避けましたが、王の子は両性具有、彼を愛した従者も男・・・ええ、少女マンガですから!!自分なんかは最初から女の子にしとけばいいのに、と思いましたが、まぁそれによって他の人間模様も描けるという事なんですかねぇ。
 それはさておき、自分は魔物側の登場人物二人の方が好きです。魔王の側近を自認し、まぁ魔物が実体化した魔の世界を実現しようと暗躍しているのですが、一人は人間と魔は分かちがたく、これは勝敗のつかないゲームさ、と嘯き楽しんでいるようなのですが、他方は本気で魔の世界を実現しようとがんばっています。自分はゲームを楽しむ方が好きなのですが、他方が何故そんなに熱心なのかというと、自分の寿命とも戦っていたから。最後に王の子にしてやられた際、片方はまた最初から始めればいいと言いますが、他方は「魔のものとなった世界を一目見たかった」と言って消滅してしまいます。何だかそれが・・・ねぇ。最も悪辣な役どころが消える際にそんなセリフを言わせるなんて、にくいなぁ、と思ったりしたり。
 うは、今日も長くなっちまいましたねぇ。