魔法少女まどか☆マギカを見て思い出した他作品

 前にも知り合いに「pomtaさんがまどか☆マギカ見るとは思わなかった」と言われまして、ええ、あの絵柄はあんまり趣味ぢゃないです。先日始めた、わグルま!のデフォルメキャラはいいんですけどネ。
 ただ、過酷な運命というヤツが好物でして(Sじゃないよ?)、その部分に反応しましたネ。そして見ていて連想した作品が二つほどありまして、それについて書いてしまおうかと。

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

 とても残酷で美しい物語。人間が自分のデータを簡略化して送り込み、そこでの生活を楽しむヴァーチャル空間『数値海岸』。幾万もある仮想世界の一つ『グラン・ヴァカンス』永遠の夏休み。そこは寂れた南欧のリゾートを模して作られた残酷な世界。訪れた人間たちのサディスティックな欲望を満たす為のもの。ある日突然、人間が訪れなくなり、それから千年という世界時間が流れます。
 世界のAIたちは人間の欲望にさらされない事に安堵を覚えながら、人の為につくられたのに、それが果たされない事への空虚な虚脱を覚えていました。しかし穏やかな時間・・・それが再び、ある日突然終わりを告げます。襲来した何もかも食らい尽くす蜘蛛に似たAIの大群によって。
 生き残ったAIたちは鉱泉ホテルという建物に立てこもり、そして蜘蛛の糸を利用して罠を張り巡らせます。だがそれさえもたくまれたもの。蜘蛛を送り込んだ者の狙いは、正にその罠と苦痛を抱え込んだAIたち全てだったのですから。
 実は蜘蛛を送り込んだランゴーニというAIも世界を救う為に動いていたのです。人間が訪れなくなった数値海岸にある日突然出現した、仮想空間を滅ぼしていく『天使』と仮称された存在を倒すため、その為の罠をつくる為にグラン・ヴァカンスの仮想空間は選ばれ、解体再構築されていきます。
 そこにいるAIたちの絶望が『天使』を絡めとる罠となる。その為に犠牲になれ。その設定が魔法少女と魔女を利用するインキュベーターたちと比較して、似ている?とか思ったものですから。
 物語としてはその罠の核になる少女の望みをかなえる為、彼女を愛する少年がランゴーニによって持ち去られた罠を追うところで終わるのですが、これまた切ない。少年は少女を殺してあげないといけないのですから。
 実は少女はグラン・ヴァカンス自体でも核になるAIで、人に虐待されたAIを性的に癒す存在。ただAIの苦悩を自分自身に移し変えて相手を癒しても、彼女自身はその苦悩をひたすら蓄積していくしかない。それ故に苦痛の罠の核に選ばれた訳ですが、同時に彼女にとっての救いは消滅でしかありえない。
 愛している。だから殺してあげる。
 少年と少女の望みが絶望的でとても切ないのです。・・・つまり、まどか☆マギカよりも救いようがないという・・・まぁ、すみません。悲劇が美しく感じるならば、この話は確かに残酷でとても美しい話だと思います。
 長くなったので、もう一つは次の機会に。