芥川賞、直木賞の選考会があるらしいです

 率直にいって芥川賞受賞作品は一度も読んだ事がなく、直木賞作品は一つだけですかな、読んだことあるのは。
 自分が読んでいるのがSFとかミステリーとか、小説でも学術系の記述が多いものだったりするので、どうも選考対象とされる作品とは縁遠いようです。
 どうしてSFってそういう文学賞の対象とはならないのでしょうね?空想の産物なら全ての創作物は、そういうものだし、妄想だというなら、それこそ創作の原動力が妄想だと思うのですがネ。まぁ、選考者の好みがSFとかは外しちゃうって事なんでしょうね。
 なので新聞ネタになっても自分にとっては、どーでもい・・・いや、いやいやいや。
 唯一読んだ事がある作品がコレ。ニュースを聞きながら思い出しました。

王妃の離婚 (集英社文庫)

王妃の離婚 (集英社文庫)

 佐藤さんの作品は妙にエロチックなところが入ったりして、これが売れる為の秘訣かしらんとか思ったりします。
 歴史作品は最近あんまり読んでいません。自分に知識がありすぎると、それとは異なる見解を見ると拒絶反応を起こしやすくなっているのでありますよ。
 この『王妃の離婚』は自分が詳しくない時代の詳しくない人々が登場人物なので、素直に読めました。フランスのルイ十二世が先々代の王の娘である妻と離婚しようとするもの。カトリックは離婚を許さないので、法皇から特別な許可を得なければならず(つまり賄賂)、そして本来結婚は許されない、あるいは結婚生活が送れない相手であったと証明しなければ、離婚できませんでした。当然無理を通すので丸く収めようとすると多額の金が必要です。親しい有力な親族を失った王妃としては素直に離婚を受け入れ、どこかの修道院にまとまった年金とともに引きこもると妥協するぐらいしか道はありませんでした。
 ところが、足が不自由でぱっとしない王妃、大方の予想を裏切って『結婚生活は成立しなかった』という王の主張に真っ向から対立、裁判となるのです。フランス最大の権力者で『美男王』とも言われるルイ十二世相手に王妃の弁護を引き受ける人間は現れないと思われました。だが、そこで主人公が、自分でもなんで引き受ける気になったのか解らないまま、弁護人となるのでした。
 歴史的事件としては教科書にも載らないような小さなものです。結局王妃は離婚に応じなければならないし、王は再婚を一度ならず二度もするのですが、結局息子は生まれませんでしたネ。
 ルイ十二世という人は『大国フランス』の王ですが、ぱっとしない人で、女にゃもてるが政治的決断力に乏しい男でして、同時代のハプスブルグのマクシミリアンは金欠の男だったからまだ助かったものの、『スペイン両王』の片割れアラゴン王フェルナンドは大変な権謀家。イタリア北部を制圧しつつあったイタリア戦争では両者においしいところをもっていかれていいとこナシ。という人です。
 そういう人となりが一発で解るなぁ、と面白く思ったものです。
 何だか懐かしく思い出しましたよ。