アエネーアスを読んだ気になる

 何の事だか解らないですよネ。『アエネーアス』というのは古代ローマ建国神話の、ローマ人の祖ともいえるアエネーアスの物語で、トロイア戦争で敗れたトロイの王族アエネーアスが逃れた一族郎党とともに地中海を彷徨い、イタリアにたどりついて新たな都市を建てる、というもの。内容的には古代ギリシア叙事詩を集大成したいみたいな。古代ラテン文学の最高傑作と言われているらしいです。ラテン語が読めたら、その表現力に唸るのかなぁ。
 さて、その『アエネーアス』は読んだ事ないのですが、それを題材にした本を読んでいます。

ラウィーニア

ラウィーニア

 主人公はアエネーアスではちょい役のラテン人の王女ラウィーニア。ちょい役とはいえ、彼女を巡ってラテン人とトロイア人が争う事になるのだから、重要なファクター。
 彼女は聖域の泉で遥か未来に『アエネーアス』を描く事になる詩人ウェルギリウスの生霊と出会い、自分の運命を知り、苦悩します。ラテン人の王の娘でありますが、流行病で弟たちを亡くし、それ以降、母は彼女にとっては母親とはいえない存在になります。その母が適齢期になった彼女に自分の甥を夫として迎えるよう強要しますが、ラウィーニアにしてみると従兄は押し出しばかりが強く、足元を見ていない不安定な人物でしかなく、生霊の言葉を楯に結婚を拒否します。
 そのうちに亡命トロイア人を率いてアエネーアスが到着し、王は神託として彼に娘を与え同盟を結ぼうとしますが、反対派がラウィーニアの従兄を担ぎ出し戦争となります。
 憎悪が憎悪を呼び、おびただしい血が流れ、ラゥィーニアは自分が招き寄せたに等しい惨劇に苦悩します。
 まだ全部読んでません。例によってル=グウィンさんの作品はティーンズ文学の棚に並んでいます。主人公は確かにハイティーンの女の子ですが、これ、そういう種類のお話かなぁ、と今回も首をひねります。
 著者としては誰もが学校で一度は習っただろう事から着想を得ているから、解りやすい題材なのでしょうが、ローマの建国神話なんてまったく習わない日本人にはハテナですよねー。
 そういえばちょいと前の映画の『トロイ』でもトロイ陥落のシーンで脱出する人々の中にアエネーアスを登場させて、知っている私はニヤリとしましたが、日本人には不可解なシーンなんだろうなぁ、と思ったりして。
トロイ [DVD]

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