寒くて雨が降っていますヨ
あ、読み終わった。
- 作者: 丹生谷哲一
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/08/08
- メディア: 文庫
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もともと古代では、非人の中核と呼べるハンセン氏病患者(本当は違うかも知れない)や腕や足を失ったり不自由であったりしている不具者、老いて子供もなく連れ合いもいない寡婦、寡夫は必ずしも差別の対象ではなく、身分的にも下等と見なされたものではありませんでした。病を患った人が家長や郷長など責任ある地位にあるのも珍しくありません。
ところが法華経が伝わり、その中で三宝(仏僧経)をないがしろにする者は病に罹ったり、手足が不自由になったり、寡婦、寡夫になったりする、とまぁ呪いの言葉をかけられてしまってから様相が変わってきます。宗教的な罰としてあげられてしまったが故に差別色が濃くなり、それゆえに一般の、一人前の人間が関わるべきではない仕事をせざる得なくなって、より一層差別感が強まるという・・・。
しかし中世において、掃除をしたり、死体を処理したり(人、獣問わず)するという事は必要不可欠な事で、またその時代の正業というものが朝廷に仕えて官位をもらう以外は、稲を育てて米をつくる、という事がステイタスの一種になっているので、行商など商業に携わる人も、まぁそういう意味では正業についているとは見なされない。だから世の中の蔑視とは別に豊かな人たちの地位というのは、いつの時代でも相対的に高いわけで、非人でありながら土倉を営み、『有徳人(金持ち)』と呼ばれる人もいるわけで、現代的な感覚で捕らえるとまったく意味が異なるという・・・。
こういう現代との認識のズレが、なーんか面白いと思うのですよねー。