昨日は寒かったなぁ

 さすがに日差しがないと寒くて、やっぱり冬なのだな、と関心します(え
 今日は一日晴れ予報。車での配達も暖かいどころか暑くなりそうですよ。うひー。
 そして昨日読み終えたもの。

カペー朝―フランス王朝史1 (講談社現代新書)

カペー朝―フランス王朝史1 (講談社現代新書)

 佐藤賢一という作家さんは、直木賞を受賞した『王妃の離婚』は大変面白い作品なのですが、他の作品群は、わかってて嘘をつく類の小説なのですけど、どーも自分の好みに合わないところがあります。うーむ。しかし、こういう歴史読み物は、さすがに作家さんだけあって読みやすく、解りやすく、面白い。このフランス最初の王家といっていいカペー家、最初はパリとオルレアンを抑えるだけの地方豪族でしかなく、王冠をかぶったのも初代王の父親が西フランク王国カロヴィング家の王を奉じて活躍したところが大で、まぁまぁの実力はあるけど、フランス全土を睥睨する力はまったくなく、だからこそ他の地方の実力者も、あいつに預けとけばいいわ、という感覚で王位にすえたようなもの。
 だから王といっても名のみの存在で、実力もなければ権威もない。それなら早々に他の実力者につぶされそうなものですが、なんと直系男子のみで三百年続き、次のヴァロワ朝になる頃にはフランスどころかヨーロッパ随一の政治勢力になっている(著者の評)。
 原因はいくつかあります。歴代の王が比較的長命。という事は在位も長く、継承争いで弱体化するのが世の習いの世襲貴族としては比較的まとまった形で領地を温存できたこと。また政策も継続して行えたのでそれなりの成果を得る事ができたこと。
 前王朝のカロヴィング家末裔と婚姻を重ねて権威のようなものを備えたところで、大物フィリップ・オーギュストを得たこと。彼がイギリス王位とフランス西半分を領有するプランタジュネ家との闘争に勝利した事で、カペー家の王は、フランス王としての実力を得ました。それから『聖王』ルイ九世の出現。暴力万歳の時代に話し合いでの問題解決を目指した彼は(といっても必要な時には武力に訴えている)、公正な裁きを行う王家の『いいイメージ』を作り出しました。
 あとは絶対化への道として安定した軍事力を保持する経済力を身につける事でしたが、ここでカペー家の命運はつきました。いや戦いに負けたというよりも、そういう財政的な問題を解決する良策を得られぬまま王が奔走し、過労で次々と短命で倒れてしまい、ここでヴァロワ家に王家が交代とあいなると。
 簡単に書くとこういう感じなのですが、つまりここまで簡単に書くことができるほど、この本は解りやすく面白く書いてあるという事でして、この題名のつけ方からするとヴァロワ家、ブルボン家と続きそうな感じですネ。少し楽しみです。