映画「火天の城」をみて

 史実とか結構ぶっ飛ばしているとか、信長が必要以上に専制君主面しているとか、脚本がアレとか、群集演出が単調に見えるとか、まぁそんなところは最初から見るつもりはなかったのでいいのだけれども、目的は西田敏行さんと大竹しのぶさんの演技でしたので、これは結構よかったかなぁと。あとクライマックスで、親柱以外の柱の礎石が沈みこんでしまい、天主を親柱だけで支えている状態になり、このままでは天主が倒壊してしまう、親柱を四寸短くして、つまり微調整して安定させるというシーンがあったのですが・・・切断する部分は下で、その間天守閣を持ち上げて浮かすとか言い出して、一瞬「ええ!!」とか口走ってしまいました。映画でやった方法で実際に浮かせられるのかどうかは知りませんが、力のこもったいいシーンだと思いましたネ。・・・やや尺が長い感じもありましたが。
 安土城自体は、その巨大な天主を除けば、縄張りは山岳寺院を模したものであり、建築場所として選ばれた理由は日本の真ん中ではなく、陸路岐阜への道と琵琶湖水路の交差点であることであり、織豊期以前の近畿では防衛利点をある程度捨てて交通の要所に城を建てる発想はなかったそうなので、その辺りが新しいところといえばそうですね。
 町を内包する城は小田原城もあるし、石山本願寺もそうですからねぇ。
 一昔までは日本の戦国時代の戦いは全てクーデター的であり、支配層同士の戦いに過ぎず、領民とは無関係という考え方が支配的でしたが、しかし資料を丹念に調べると、やはり各地の武将は領民を保護し守る義務を負い、それができない支配者は追放されたり世代交代を余儀なくされています。
 そのあたりの研究成果が、こういう劇作に生かされるのは一体何時になるのかなぁ、と見終わった後、思いましたねぇ。
 この作品、西田さんの演技力で半分できているよなぁ。