興味がわいたので読んでみた
民主党党首になり、今政治資金絡みでたたかれている鳩山さんと血縁・・・?とか思っていたらどうも違うらしい『昭和の妖怪』岸信介氏の、入門書?みたいなもの。血縁なのは安部さんでしたか。
- 作者: 原彬久
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/01/20
- メディア: 新書
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手法は法律に触れまくる事もありますがネ。
A級戦犯という政治的に致命的な傷を負いながら、それでもなお戦後首相になったのは、戦前から築いた途方も無い人脈と運の力だと思います。自立的には何の手を打つこともできず、当時の同僚が処刑判決を受ける中、彼は尋問のあと、留置されたまま。その間の不安、後ろめたさ、噂に振り回される日々は日記に描かれています。彼が釈放されたのは戦前の人脈がGHQに対して、彼が日本産業界建て直しに非常に有為な人物であると様々な方面から、時には虚偽も交えて説得したからで、GHQも占領後、冷戦の中でいかに日本を自陣営に繋ぎとめるかが焦点になっていたので、その説得に応じたようです。GHQ内の勢力争いも絡んでいるようです。
政治家としての成功も人脈の広さにあって、当選一年目の議員が四十人の同調議員を集めて集会を開いた、なんて最近の政治状況ではちょっと見られないものです。一年生議員の人脈なんてたかがしれてますしネ。当時としても相当インパクトがあったようで、そこから政界の台風の目になっていきます。
首相になったところまで読んで安保理改正まで進み・・・当時自閉症モードの日本人の中にあって、対等にアメリカと付き合うためにはどうすればいいのかと考えて、軍事力を持たねばならないと結論付けたようです。・・・とことん右派の人だ。
しかし自衛能力のない国家など、国家ではないのが常識ですから、アメリカと対等の立場を得ようと思ったら、真っ当な意見です。日本は交戦権を放棄している憲法を持っていますが、これを先制攻撃権と理解するのか、領海を侵犯した軍艦でも攻撃してはならないのか、なかなかもどかしい問題ですネ。
ここまでギラギラした印象を持ちながら、写真は結構涼やかだったりするのが『妖怪』と呼ばれる所以なのかナァ、と思いました。
ご本人は二大政党志向で、二つの政党が政策で国民に優劣を問うという構造が望ましいと考えていたようです。それは保守対社会主義系でなければならないとも。結果として彼が築きあげた55年体制は自民党が政権を独占する形になりますが、それは二大政党の一翼を期待されながら力不足で万年野党になってしまった日本社会党の責任なのかも知れません。
というか、日本人は基本的に保守的であって社会主義や革新系の思考があんまりないのかしらん?今の民主党も自民党と大してかわらんもんなー。