やっぱり冬の雨は寒い

 気温的には暖かいらしいですよ?でも、寒いもんは寒いんじゃー!!
 そして昨日読み終わったもの。

マハラジャ 歓楽と陰謀の日々―インド裏面史

マハラジャ 歓楽と陰謀の日々―インド裏面史

 近世インドの裏小話集です。イギリス支配下インド帝国内で独立自治を認められたり、ただ単に大地主であったり、様々な権利、権力、形態をとりながら数百存在した藩王国。半生に渡ってそれらの藩王国に仕え、また独立インドの要人とも面識のあった人が著者です。だから原版は40年ほど前に発行されたものですね。
 まぁイギリスの権力に保護されて、自己を神格化するなどして錯覚して、無軌道な支配を繰り返す者がほとんどで、それでいながらイギリス支配に内心反発している藩王たちのエピソード集なんですが・・・この内容の話、何処かで似たようなものを読んだ事あるなぁ、と思ったら、十八史略とか史記とか、春秋とか、つまり中国の春秋時代の諸侯の無軌道ぶりそっくりなんですわ。
 確かに政治状況は似ていなくもないです。周王朝から諸侯として半ば独立した形で権力を認められ、周の政治混乱と弱体化に乗じて力を拡大しますが、有能でやる気のある諸侯は強大化しますが全部が全部そうである訳がない。周王朝から封建されて数百年、地方で根を張り支配を確立してしまえば、安心して放埓な事をやる連中も出てくる訳で・・・ほーんと、日の本に新しきことなしだよなー、なーんて思いました。
 もう一つは、これ。
中世の巨大地震 (歴史文化ライブラリー)

中世の巨大地震 (歴史文化ライブラリー)

 読後の感想。『中世』って言葉が入らないと編集部が執筆を許可しなかったんじゃない?
 日本の中世の記録というのは正史を別にすれば京在住の公家さんの日記とかがほとんどで、後は信用するには躊躇われる伝承の類がほとんどです。この本のテーマは十一世紀から十五世紀に百年から百五十年の周期で発生した太平洋沿岸を震源とする(だろう)巨大地震の事なんですが、えーっと、全体の三分の二ぐらいですか。京に住んでいる公家さんの記録はやはり伝聞でしかなく、具体的なものではないですし、後は地域の伝承と考古学的な研究ぐらいで、かなり心もとない。
 ところが近世に入ると資料の数が格段に増えて、精度も増します。時代が近くて資料が残りやすいこと。人の生活水準が向上して地方においても記録が残っていること。書簡集なども残されていること。などが理由としてあげられます。
 どっちかというと読み物としては近世に入ってからの地震の記述の方が面白いのですよ。被災地を救済した人が残した、実際の記録や、被災地に消息を尋ねる手紙を出したり、返答したりと人々の生々しいやりとりも残っています。
 でも『近世』という言葉は何となく流行りではないので、おそらく却下されたかもね、編集部に。
 あーあ、なんて残念な事でしょう。
 願わくば続編として『近世の巨大地震』とか出て欲しいですよ。幕末近くでも巨大地震起きてますからね。有名人物がどう被災したのか知るのも興味深いですよ。ほんと。