スペックが足りていれば何とかなるもんだナ

 いや、夏コミ申し込みのことです。何とか送れたようですよ。いや、サークルカットはいつものように適当ですが。
 来週はそうさく畑の申し込みをします。三月に五月の東京コミティア、四月に六月の名古屋コミティアを申し込めば、今年の上半期はおしまい・・・え?一月で上半期の終わりが見えるのか・・・なんか、ねぇ?
 今週は会議とか飲み会とかが重なりまして、今夜もそうなんですが、昨夜は久しぶりに『くそ根性』発揮のROをやりました。右腕が痛いです・・・はい。デスペナ取り戻すために一時間延長してやりました。アホです。はい。
 少し新しい版なら読みやすいかも?と、図書館で見つけたコレを読んでいます。

<新訳>ガリア戦記

<新訳>ガリア戦記

 原文のラテン語は簡潔で大変読みやすいらしく、それゆえに『名文』とも評される『ガリア戦記』ですが、岩波文庫版を持っているのですけれども、図版というか戦闘地図のようなものが付いていないために肝心要の戦闘シーンが良く解らなかったのです。塩野七生さんの『ローマ人の物語 ルビコン以前』を読んでようやく理解したという始末。
 今回はそれを踏まえているし、翻訳者が若返っているから(たぶん十年ぐらい)読みやすい文章なのだろうと思います。大判で、そしてくどいほど読み仮名がふってありますが・・・これはこれで鬱陶しいな。
 しかし気になったのは翻訳者のカエサル評価ですね。まぁ学歴が理系の方で、翻訳会社経営している方なので、膨大なカエサル研究書を読んでいる訳ではないのでしょうけど、そして図表で塩野さんの『ローマ人の物語』で使われたものを利用しているところからも、『ローマ人の物語』は確実に読んでいる筈なんですが、カエサル評が通り一遍のものでしかない。癲癇持ちもそのまま書いているし、クラツススとの関係も単に借金の貸し借り関係、そしてクラッススカエサルを利用しているという評価で・・・えー?とか思ってしまいました。
 特にカエサルの借金に関する考え方は、自分も商売していますし内田百輭さんの随筆なんかも読んだ事もあるので、理解できるのです。巨額の借金をした場合、金を貸した側よりも借りた方の立場が強くなるということを。借金を、それも政治とか商売とかで借りて現に活動している人間から貸しはがしをするというのは、かなり強い立場を持たないと、そして相手との関係を破壊するつもりでないと無理です。貸した金を取り戻したら相手が破滅する場合はなお更。お金の貸し借りというのは、単に経済上の問題ではなく信頼の問題なのです。貸しはがしはその信頼関係を破壊してしまう事に他ならない。だからクラッススというローマ一の富豪が、大した業績もない血筋だけは古いカエサルに多額の借金を許したのは、彼とは個人的に友人関係にあったからではないだろうか?という塩野さんの解釈にうなづいてしまうのです。・・・友人に対してさえお金を貸したり借りたりする事が極度にいやな私のような人間でも、商売で貸し倒れの危険を承知しながらも掛売りを続けざるを得ない羽目になるのは、商売相手との信頼関係を損なうことを恐れるからです。特にクラッススは品位のない金儲けで評判の男ですからね。そして人を見る目があるとは思えないし。年下のポンペイウスに嫉妬して敵視していたのは有名な話でカエサルがいなければ三頭政治には参加しなかったでしょうしね。
 おそらくカエサルは借金というものを、自分と他人との信頼関係の証、とも考えていたのでしょうね。だから平気で国家予算に匹敵する借金をしていたのでしよう。それにちゃんと返済もしていますしね。ガリア戦役で、おそらく商人からのリベートを手に入れて返済に充てています。
 この考え方は歴史家のものではなく今はなき東ドイツの作家、脚本家のばりばり共産主義支持のブレヒトが考え付いたものらしいです。この人の『カエサル氏のビジネス』という話、読みたいのですが日本では絶版になっているようで・・・うう、残念。
 なんか、最初の解説で少しがっかりしてしまいましたよ、この本。
 あ、でも『ガリア戦記』本体の文章は読みやすくていいです・・・読み仮名ふりが多くて辟易しますがネ。